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こんな産院あんな病院

栃木県済生会宇都宮病院 産婦人科

産婦人科医長:飯田 俊彦 産婦人科医師
栃木県宇都宮市竹林町911-1  Tel  028-626-5500
診療内容/産科、婦人科、不妊外来
外来診察時間/午前 9:00〜午後12:00 月〜金
午後13:00〜午後15:00 月(不妊)、火(ミッドワイフクリニック)、木(不妊)、金(腫瘍、産褥)
外来受付時間/午前 8:00〜午後10:00
       午後12:00〜午後14:00
外来休診日/日、祝祭日

特徴/栃木県救命救急センターを併設、NICU、LDR室、フリースタイル出産、水中出産、夫・家族の立会い、硬膜外麻酔による無痛分娩、助産師による外来(ミッドワイフクリニック)、マタニティ・エクササイズ、母乳外来、希望により母子同室、不妊ホルモン外来、先端的不妊治療、腫瘍外来

アクセス/JR宇都宮駅より、関東バス「竹林十文字」経由「済生会病院行き」10分/ 国道4号線または119号線から競輪場通りへ 東日本ホテルの北側
ホームページ http://www.saimiya.com/

取材/きくちさかえ 2002.9月掲載 2006.4月更新

栃木県、宇都宮市。JR宇都宮駅より北へ車で10分ほどの少し郊外に、栃木県済生会宇都宮病院があります。1996年に町の中心部から現在の場所に移築。広大な敷地に建つ新しい建物です。産婦人科の医師は6名、助産婦は産科棟22名と充実し、年間分娩数およそ1000人という人気の病院です。
ここは県内でも有数の大きな総合病院のひとつで、栃木県救命救急センターを併設する基幹病院。NICUなど先端的医療設備をもち、周辺の医療機関からリスクの高い妊婦や赤ちゃんが送られてきます。産婦人科の年間手術数はおよそ600件。不妊治療も体外受精、顕微授精など先端的治療が行なわれています。一方で、自然分娩が可能な人には、それぞれの妊婦のバースプランにあわせたきめ細やかな取り組みがなされています。


外来


広大な駐車場に面した正面玄関を入ると、まず吹き抜けのロビーが広がっています。一角にはコーヒーショップや花屋もあり、すてきな空間。そのロビーを見ながらエスカレーターを上がると、右側に産婦人科の外来があります。
外来の待ち合い室は、市内を見渡せる大きな窓に囲まれ、とても開放的。診察室は3つの個室に分かれていて、それぞれに担当医師の名前が掲示されています。医師は曜日によって担当が決まっているので、一定の曜日に健診を受けることで、主治医が決まります。出産当日は当直医の担当になりますが、出産後も同じ主治医に継続的にみてもらうことができるようになっています。
これだけ大きな病院ですから、外来は毎日、とても混みあっています。それでも、長い時間できるだけ待たなくてもいいように一部予約制を導入。分娩数も制限しています。一般の出産の受付は月40例まで、としているため、妊娠8週以前に申し込まないとすでにいっぱいの状況です。

外来のドクターテーブルの上には、パソコンといくつものファイルケースが。その中には検査や治療、出産方法、院内で開かれている各種クラスの情報など、詳しい内容が書かれたプリントがたくさん入っています。
産婦人科医長の飯田俊彦先生は、「きちんと説明をした上で、納得して検査や出産にのぞんでいただくのは、あたりまえのこと。短い診療時間内で説明しきれない部分を補ったり、帰ってからご家族に見ていただくためにプリントを置いています」と言います。
こうしたインフォームド・コンセントを大切にしている姿勢は、飯田医師はじめ、産婦人科のスタッフたちが訪れる女性たちを尊重している姿勢のあらわれでもあります。


助産婦によるケア

済生会宇都宮病院では、助産師たちも前向きな姿勢で出産にとり組んでいます。医師の診察の際、計測などは助産師が担当。外来の一角に設けられた部屋では、助産師による外来も行なっています。

ミッドワイフクリニック(Midwife clinic MWC)と呼ばれる助産師外来は、毎週火曜日の午後にオープンします。ここでは妊婦健診が受けられるほか、超音波による診察や貧血や便秘などの薬を処方も行なっています。ミッドワイフクリニックは希望者のみ受けられるようになっていますが、妊婦の中には定期健診のほとんどを、助産師外来で受診する人もいるとか。カルテは医師、助産師が共有し、必要な場合には医師の診察を受けることができます。
助産師外来の人気のひみつは、女性どうし気楽に相談できることにあるかもしれません。出産方法などについて説明を受けながら、自分のバースプランをつくる手伝いをしてもらうこともできます。
もちろん分娩室にはたくさんの助産婦が勤務していますから、出産のさいに心強い支えになってくれます。産後は母乳外来も開設しています。


産科棟でのいろいろな取り組み

産婦人科と小児科の入院室は3階にあります。
産婦人科棟はダークピンクをベースにした落着いた色調で、ゆったりしたつくり。各入院室の窓からは、眼下に広がる田園風景や、遠くには日光の山々がのぞめます。


ナースステーションの奥が、陣痛室、分娩室、手術室。陣痛室の一角には、なんと畳みを敷いたコーナーがあって、テレビも備えられています。
産婦につき添ってきた家族がくつろぐスペースにもなっていますが、畳みは陣痛中の産婦がリラックスできるようにと、助産師たちが工夫して取り入れたもの。
そして、そのとなりにはお風呂のコーナーも。当初は、お湯をつかって陣痛を緩和するためにつくられたものでしたが、そのうち浴そうの中で出産したいという希望が出て、ここ数年水中出産も行なわれるようになってきました。
2001年には8人が水中出産をしています。もちろん、陣痛中にシャワーを浴びたり、お風呂に入ることもできます。


一般的な分娩室のほかに、LDR室が設けられているのも特徴のひとつ。こちらは入院室の一角にあり、ゆったりしたベット、バスルーム付きでくつろげる空間です。
LDR室で出産する人は、全体の1割ほど。陣痛期と分娩、産後およそ1日をこの部屋で過ごし、そのあと一般の入院室に移ります。さすがにLDR室は、一般の分娩費のほかに部屋代がかかりますが、ちょっとしたVIP気分を味わえるはず。 


出産のトレンドとは?

総合病院で気になっていたことのひとつに、食事があります。多くの病院では、ほかの科の入院患者と産後の女性の食事は同じで、味気ないものでした。済生会宇都宮病院では、出産のあとの食事は、ほかの患者とは別のレシピが用意されています。食器も陶器でおしゃれなもの。飯田先生が厨房に提案して、産後の母親には特別な食事をつくってもらうようになったといいます。

食事は、産科棟の入り口にあるサロンでみんなといっしょに食べます。そこでの女性どうしの会話も情報収集や、友だちづくりの場になっているのだとか。「医師として、産む人のニーズに答えることが基本だと考えています。できるだけ自然に出産したいと思う人もいれば、無痛分娩を希望する人もいる。基幹病院という性質上、ハイリスクの妊婦さんも多く、そうした人たちが安全に出産できるような治療や医療的処置が必要です。この病院の帝王切開率は全体の24%。それだけハイリスクの人が多いということです。そうした中で、インフォームド・コンセントをすすめながら、ぎりぎりのところまで自然分娩を推進することに意義があると考えています」と飯田先生。

これまで世間で言われてきた出産のトレンドといえば、ブランドもののグッズを揃えている産院や、ゴージャスな食事を出すクリニックがほとんど。でも、そうした産院がはたして産む女性のニーズを満たす出産を行なっているかということについては、あまり触れられてきませんでした。

出産に求められていることはまず安全性、そして医療者とのコミュニケーション。それを前提条件とした上で、あたたかいケアや施設のアメニティも期待したい。しかしこれまで、大きい総合病院にファッション性をのぞむことはむずかしい状況でした。建物が古めかしかったり、大きいがゆえにきめこまやかなケアまでなかなか手が回らないこともあります。ところがここ10年ほどのあいだに、そうしたことすべてを満たす病院が少しづつですが、各地でみられるようになってきました。済生会宇都宮病院の産婦人科もそのひとつ。医師や助産師たちの熱心なとり組みは、ますます期待できそうです。

取材/きくちさかえ 2002.9月掲載 2006.4月更新


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監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長




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