おやつ抜き、でプチ絶食状態になる「幼児のからだ」
先日、幼児教育に関わる人たちとお話をしていたら「おやつをあげないお母さんが多い」ということが話題にのぼりました。その大半の理由は「食事を食べなくなるから」だとか。おやつを抜けば、食事をたっぷり食べてくれるのでは、という気持ちからのようです。しかし、これは大きな誤解。3回の食事を重視するあまり、おやつをあげないというのは1、2才の子どものからだにとってやさしいことではないのです。
保育園では通常、離乳したばかりの1、2才の子どもには一日に1、2回のおやつをあげるのが通例となっています。母子手帳にも離乳後は「食事は一日3回となり、その他に一日1〜2回の間食を用意します」とあります。きちんと明記されているのは、ちゃんとした理由があるから。つまり、おやつはあげてもあげなくてもよいものではなくて、1、2歳の子どもにとっては大切な栄養源となるものなのです。
乳幼児はまだ胃が小さく、一度にたくさん食べることができません。その上、消化吸収の力も万全ではないので、一日に3度の食事では必要な栄養がとりきれないのです。それを補足するのがおやつです。おやつというよりも「軽食」と考えるといいと思います。つまり、1、2歳の子どもの食事は一日に5回。一日の食事のトータルを100%と考えた場合、1、2才の子で朝食20%、午前のおやつ15%、昼食20%、午後のおやつ15%、夕食30%といったバランスがいいと言われています。3才を過ぎたら午前のおやつをやめて3食を多めにし、プラス午後のおやつとして一日に4回の食事でいいと思います。
「ただでさえも食べないのにそんなに!」と驚かれるお母さんもいるかもしれません。生まれながらに少食な子どもも中にはいるでしょう。しかし、ほとんどのケースは「仮性食欲不振」。一度の食事で子どもが食べたい量と、お母さんが食べさせたい量のギャップだと思います。母子手帳などにある「幼児身体発達曲線」にお子さんの身長、体重を照らし合わせてみて、正常の範囲に入っているならばほとんど心配はないでしょう。一度にたくさん食べないことはそんなに問題ではありません。それよりも少食の子の場合は特に、食事の回数が足りないことで栄養不足になるほうが心配だと思います。
肥満だけじゃない。
甘いお菓子は食欲をなくす
もうひとつ心配なのは幼児の肥満です。年々体格がよくなってきている現代の子ども達ですが、同時に肥満児の増加も目立ってきました。運動不足などのライフスタイルの変化も大きな原因でしょうが、私はおやつに対する誤解も大きな要因になっていると思うのです。
おやつ、と聞くとケーキやクッキー、ホットケーキや菓子パンなどを連想するお母さんは多いでしょう。そしていっしょに清涼飲料水やジュースをあげることも増えたようです。しかし、これでは先にお話したような栄養補給の意味をなさないおやつになってしまいます。それどころか糖分や脂質の過剰摂取につながり、肥満の原因になりやすい。
お砂糖のグルコースは脳の大切な栄養ですが、おやつにお砂糖をとると、本番の食事のとき食欲がなくなっています。そのため大切な栄養素を補給することができません。脳に必要なエネルギーのグルコースや、活動に必要なエネルギー源のグルコースは、ごはんなどデンプンでとるのがよいでしょう。
かまぼこを使ったおやつ
おやつは軽食。そう考えて、少し内容を変えてみてはいかがでしょうか? 不足しがちなタンパク質を補うには、シーフードをプラスするのがいいでしょう。とはいえ、おやつに魚、というのは気分的にもお財布の事情の上からもあまり気乗りがしないでしょう。
そこでおすすめしたいのが「かまぼこ」です。これを細切りにしてじゃこと桜海老、小さくちぎったチーズといっしょに、小麦粉を水で溶いた生地に混ぜてフライパンで薄く焼き上げればピザ風お好み焼きのできあがり。食パンにこれらの材料をのせて焼き、ピザトーストにしてもいいです。食欲をそそる香ばしい香りで彩りもきれい。小さなお子さんにも好評なおやつです。また、豆腐に小さく刻んだかまぼこ、じゃこを加えてつなぎに小麦粉を入れて練り、一口大にして油であげればおいしい「まさご揚げ」になりますよ。
「3度の食事づくりも大変なのに、おやつでも台所に立つのは大変」というお母さんなら、朝食の残りのごはんでおにぎりを作っておいてはいかがでしょう。炒り卵とかまぼこの細切りを加えたり、ジャコやシラスを加えるだけでOK。これに果物をそえればおいしくて栄養満点のおやつになります。これらのおやつにはジュースや清涼飲料水はあいませんから、自然と飲み物もお茶になるでしょうね。
(談/鈴木たね子 構成・文/babycom)