マタニティと子育てに役立つ栄養学、シーフードベジタリアン

マタニティと育てに役立つ栄養学


10.海と大地のテーブル
幼児向けシーフードおせちをつくろう


子ども用おせちを大人用とは別に、小さなお重(お弁当箱でもよい)にきれいに盛り付けることをおすすめします。特別な材料や難しい調理法の心配はご無用。お馴染みの材料とちょっとしたひと手間で十分事足ります。
シリーズ10回目は、栄養学から子どものためのおせちを考えてみたいと思います。


いつもの材料でつくる“幼児のためのおせち料理”

かまぼこは「消化が良い」

魚+お煮しめ。お麩入りお雑煮で晴れやかなお膳に


取材協力:鈴木たね子(すずき・たねこ)氏

農林水産省研究機関を経て、日本大学教授、国際学院埼玉短期大学教授。大日本水産会おさかな普及学術諮問会議座長、海洋開発審議会委員等を歴任。 現在は、国際学院埼玉短期大学客員教授、おさかなマイスター協会講師。「健康のための食生活」をテーマに、執筆、講演活動をしている。著書に『なぜ、魚は健康にいいと言われるのか?』(成山堂書)、『お魚を毎日食べて健康になる』(キクロス出版)など多数。



年の瀬も近付くと、そろそろ年越しの準備のことが気になり始めます。大掃除に買い出しに、おせちづくり。この時期、お母さん達はみんな大忙しでしょう。今はおせちをしっかり作る家庭も減ってきてはいるでしょうが、やはり子ども達にとってのおたのしみのひとつには変わりないもの。行事食はそれぞれの家庭で、味の思い出となるものです。各家庭で手作りのおせちを家族みんなで囲み、新年を迎える。そんな清々しさ、楽しさを、子どもたちにも感じさせてあげられるよい機会となるのではないでしょうか。
とはいえ、既製品のおせちは幼児にとっては少々味が濃いものが多く、また田づくりや、タコは硬すぎます。
そこで、子ども用おせちを大人用とは別に、小さなお重(お弁当箱でもよい)にきれいに盛り付けることをおすすめします。特別な材料や難しい調理法の心配はご無用。お馴染みの材料とちょっとしたひと手間で十分事足ります。


五色
おせちの定番といえば紅白の板付きかまぼこ。お祝い事のお膳に欠かせない一品です。とはいえ、あの弾力の強さは消化の悪さを連想させ、幼児に不向きなのでは?と心配になりますね。しかし、それは大きな誤解。近畿大学農学部の塚正泰之先生の研究によれば、動物性食品の中でもっとも消化がよいものは1に卵、2に煮魚・焼き魚、3番目におさしみが挙げられますが、なんとかまぼこは、おさしみと同じかそれ以上に消化がよいことがわかりました。
包丁で細かく切ってさえあれば、幼児にも安心して食べさせられます。さらにいえば、ピンクのかまぼこの着色料は紅麹など天然のものですから、食品添加物が心配、というお母さんも安心です。

紅白かまぼこの横には、きれいな黄金色の伊達巻きを添えてあげるのもいいですね。伊達巻きは白身魚のすり身に卵が加えられていて、タンパク質たっぷり。そのほかビタミンA、E、パントテン酸、葉酸、レシチンも豊富です。市販品のなかには、お砂糖が沢山含まれた非常に甘いものもあります。糖分が多すぎると思う方は、購入する時食品表示の栄養成分にご注目。いくつかの商品を見比べて、100グラム当たりの炭水化物やナトリウムの数字が少ない製品を選べばよいのです。

また、ちょっとしたひと仕事ですが手作りしてもいいと思います。はんぺん、もしくは白身魚のすり身100gに卵4、5個と好みの量の砂糖を加えてミキサーすれば、伊達巻きの生地ができます。それを卵焼き器で焼くか、オーブンで焼き、ロ-ルケーキを作る要領で巻き込みますと自家製の伊達巻きができあがり。砂糖の量も調節できるのでおすすめです。


また、おせちにはニシンの卵巣である数の子や、サケの卵巣のイクラもよく使います。どちらも脳の発達に必要なDHAがたくさん含まれています。かずの子は塩出しをした後、ひと口大に切り、かつおぶしをまぶします。おしょうゆを一滴垂らしてあげても。いくらは塩が強いものもあるので、うす塩のものを選んであげましょう。

タウリン豊富な海老も入れてあげるとぐっと豪華になりますね。海老はそのまま焼いてレモン汁を搾ってかけると塩も控えめになります。お母さんが殻を剥いてあげましょう。海老の肉は魚肉とおなじ位消化がよいものです。誤って殻が入っても心配いりません。キチンという食物繊維やカルシウムですから。ブリやサケのバター焼きもつけてあげれば、りっぱな祝膳です。 あとは里芋や人参などのお煮しめを添えて。薄味に煮れば、大人と同じでも大丈夫でしょう。滋養たっぷりの黒豆もいいですね。

新年の朝は、そんな幼児用おせちにお雑煮を添えてあげて始めましょう。3才以下の幼児は、おもちはまだ危険ですから、かわりにお雑煮にはきれいなお麩などを入れてあげると喜びます。
仕舞い込んでいたお食いぞめ用の塗の碗やお箸をまた活用してもいいですね。自分のためにこしらえられたおせち料理、いつもと違う華やいだ食器に、新年を祝う空気を子どもながらに感じ取るでしょう。ここまで準備しておけば、お母さんも新年の朝は台所仕事を少しお休みできるというもの。新年を祝う膳を家族そろってゆっくり囲み、年に一度の晴れの席を楽しく迎えましょう。

(談/鈴木たね子 構成・文/babycom)



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