お父さんのための妊娠・出産

お父さんのための妊娠・出産

お父さんのための出産準備-3

by きくちさかえ


妻の妊娠がわかると、夫としては、子どもが生まれてからの自分たちの生活のことをまず考えるのかもしれません。妊娠は妻のからだで起こっていることなので、男性は母親に比べてなかなか父親になるという実感が湧きにくいもの。
それはそれで、性の違いですから、しかたのないことですが、互いに自分の思いが伝わらないという気持ちになるかもしれません。

私の行っているマタニティ・クラスには、いろいろな人が訪れてきます。いつも妻といっしょにクラスに参加してくる熱心な夫もいるし、仕事が忙しいので土曜日とはいえ気持ちはあっても参加できない人もいます。中には、妻の妊娠、出産にはあまり関心がないという夫や、どうかかわっていいのかわからないというような夫もいるようです。

クラスでは、まず、「どのような出産をイメージしていますか?」という質問をするのですが、「初めての妊娠で、情報がないので、お産のイメージがわかない」という人も多いもの。で、そうした人は、あまり出産についてカップルで話し合っていないことが多いようです。
夫の立ち合いにしても、「したほうがいいのか、する必要がないのか、よくわからない」という答え。夫はどう思っているのかと聞くと、「それについて話し合ったことがない」と言います。どうやら彼女も夫も、お産は病院に任せておけばいい、あるいは、医療に任せておくものだ、と思っているようです。
しかし、なのです。今、医療の在り方について、いろいろ言われている時代ですし、何かと問題も起こっている医療に、本当に任せきりで反対に不安にならないのかなあ、と思ってしまう。これは、パートナーとしての夫だって考えるべき問題です。どこの施設がいいのか、どんな産み方がいいのかといった、具体的なことはもちろんわからなくても、医療に関わるときの心構えなどは、ふたりで話合っておいたほうが、いいのでは?

さて、夫が出産に立ち合うかどうかも、“黙って暗黙の了解”というのではなく、互いに自分の意思を伝えあっておいたほうがよさそうです。妻は、本当は立ち合って欲しいと思っているのに、夫はどう思っているのか、わからないので、言い出せない場合もあるでしょうし、逆に立ち合いたくないのに、妻に押し切られてしまって、しぶしぶ立ち合って、やっぱり後悔してしまった、という男性も実際にいます。それって、互いに気持ちを伝え合っていなかったから起こること。

子どもの出産について、自分がどう思っているのかを、妻に伝えておくことは、あとあとの誤解がなくていいのでは?
「立ち合いたくない」のなら、どうしてそう思っているのか妻も聞いておきたいはずですし、妻がどう思っているか、ということも知っておいたほうがいいと思います。
立ち合いに関しては、分娩室に入らない付き添いでも、十分、妻にとってはありがたいもの。実際、分娩室にいる時間より、陣痛室で過ごすほうが時間が長いわけですし、このとき、産婦はひとりぼっちで淋しく辛い思いをするのです。パートナーとしてやることはたくさんあります。腰をさすったり、飲み物を用意したり、医療者から状況を聞いたりなど。
でも、反対に、動物的本能から、お産のときはひとりでいたい、夫に気を使うのでは?という心配から、立ち合って欲しくないと感じる人もいます。これは一概には言えないことなので、とにかく相手の気持ちを聞いておくしかありません。
また、ワーキング・マザーの場合には、妻が仕事に復帰したときに、保育園への送り迎えや、家事の分担などもどのようにするか、話合っておく必要がありそう。

出産に立ち合って欲しいと望む女性は、「ふたりの子どもなのだから、出産もいっしょに」という発想の人が多く、その言葉の奥には、「当然、家事、育児もいっしょよね」という真意が含まれていることが多いもの。「こんなはずじゃなかった」と思う前に、とにかく話合い、話合い。


参考資料:パートナーの立ち合い出産について(babycom 白書 妊娠・出産)
babycom妊娠・出産に関するアンケート アンケート結果
実施期間:1998年8月 掲載:1998年10月 2006年4月再編集


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