なぜ子どもを産みたいのか
鈴木良子さん(フィンレージの会会員)
「女性が子どもをほしいと思うことはあたりまえ」と言われることはよくありますが、私は子どもがほしいと思う感覚はあたりまえのことではないと考えています。いったい、子どもをほしいと感じる感覚はどこからくるのでしょうか。
不妊治療をしている人たちの理由はいろいろですが、大きくわけると、女と生まれたからには妊娠、出産を1度体験したいという人と、子どもが好きだから子どもを育てたいという人、のふたつがあるように思います。
自分が妊娠、出産できるからだであるということをどうしても証明したいと感じる人もいます。不妊の人ではありませんが、「男に勝てることはこれしかない。だから産んだ」という人もいました。
あるいは、自分と母との関係が悪くて、その母親を見返すために自分はいい母親になりたいという願望を抱えている人もいます。子ども時代のトラウマを抱えている人もいます。 大多数の女性はこれまで、なんで子どもを産むのかを深く考えてきませんでした。みんな産むものだとあたりまえに思っていたからでしょう。
こんな例え話があります。あるところに、アメをくれるおじさんがいました。全員がもらえるとみな信じていました。ほんとうは10人にひとりはもらえない人がいるのですが、そんなことはだれもお首にも出しません。並ばない選択もあるのですが、みんなが並ぶものだと思っていました。並ばない選択があるということも知らなかったのです。そして私の番がきて、アメをもらうことができなかった。なぜ?私が悪い子だったから?。確実に10人にひとりはもらえないということを、はじめに書いておいてほしかった。
あたかも全員がもらえるような雰囲気にさせたのは、いったいだれ?。