子ども環境問題
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子ども環境問題

ライフスタイルという環境

2004年12月掲載(専門家のプロフィールは掲載当時)

「これまで、babycom eco 特集3『子ども環境問題』で小さな子どもの環境リスクに対する感受性や脆弱性についてお話してきました。身体がまだ完成していない子ども達は、環境の中に存在するリスク−化学物質、環境ホルモン、電磁波などに対して影響を受けやすい。そんなことがわかってきました。
しかし、環境リスクをとらえるための指標はそれだけではありません。子どもの生活習慣、生活環境も重要な指標のひとつ。環境が変わることで子ども達の生活習慣やライフスタイルが変わり、そのことのために健康が悪化しているとすれば? つまり、現代の子どものライフスタイル自体がリスクになっているとしたら?
 今回はその問題を取り上げたいと思います。

CONTENTS



教えて!上田さん3
子どもの生活環境は誰がつくる?


子どもの生活環境は誰がつくる?
 『こどものからだと心白書』という本があります。これは、NGO「子どものからだと心・連絡会議」が行っている子ども達の身体と心に関する全国調査をまとめたもので、1991年から毎年刊行されています。その内容は多岐に渡っています。生存率、死亡率、死因、栄養摂取の状態や疾病、異常などの他、体格、体力、恒常性や反応、そして、睡眠や食事形態、体調などの生活実態も事細かに調査されています。

 「調査をすると、はっきりと子どもの身体と心に“おかしさ”が現れていることがわかる。そういった“証拠”を収集・蓄積してゆくことで、マイナスの変化を食い止めるための取り組みを生むきっかけをつくる。それが調査、研究の出発点です」。子どものからだと心・連絡会議議長の正木健雄先生はそう語ります。先生には、今回、調査を軸に子ども達の生きる力の低下についてお話頂きました。


ライフスタイルという環境

 正木先生達が行っているこの調査によって、“おかしさ”を生んでいる原因は子ども達のライフスタイルの変化であることが今、浮き彫りになってきました。これから生活習慣が身体と心に根付いてゆく子ども達にとって、いったん身につけてしまった習慣や嗜好や振る舞い方などは、成長してからなかなか簡単に改めたりできるものではありませんし、たとえば夜更かしの習慣一つとっても、その身体や精神に対する影響は大人より子どもにとってより深刻であると考えることができます。
ライフスタイルについても「子どもは小さな大人ではない」という見方で、しっかりと考え直していかなくてはならないのです。

 こうした調査は“おかしさ”を浮き彫りにするだけではなく、逆におかしくない子ども達の存在を表し、“生き生きとした元気な身体をつくるパターン”も見えてきます。
そして、そのパターンを皆で共有し、実践することができたら——調査を読みといてゆくことはそんな対策を見出すことにもつながってくるのかもしれません。

データで見る「子どものライフスタイル」を読む….>>

Interview 専門家インタビュー3
正木 健雄(日本体育大学名誉教授/子どものからだと心・連絡会議議長)

子どものからだと心がおかしい!?身体が変わることで低下した“生きる力”



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子どもの発達の基礎知識とともに、最新の脳科学や発達科学の研究成果なども紹介し、環境や発達の視点から、健やかな脳に育てるために親が知っておきたいこと、親ができることを考える。



子ども環境問題

子ども環境問題 インデックス

1.子どもの健康と環境の新しいとらえ方

2.子宮内環境は今・・・

3.ライフスタイルという環境

4.子どもの脳が危ない/脳の発達と環境リスク

5.胎児・子どもの電磁波感受性

6.未来の子ども達へ




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