お産のための中医学
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「中医学」は、日常生活に活かせる知恵の宝庫。妊娠・出産、育児の 強い味方でもあります。
10年以上にわたる取材で得た知恵の数々、ひとりじめは もったいない!ということで、 みなさまにも中医学の知恵をおすそ分け!です。

楽しい中医学 その2

女性の体のフシギ Part1

女性の体は7年ごとに変化する
生理中の正しい過ごし方
基礎体温表で、体質傾向が分かる?


by 中医学ライター 高島系子 掲載:2003年5月

女性の体は7年ごとに変化する

考えてみると、女性の体はとってもフシギだと思いませんか?ある年齢 になると、自然に生理が始まり、妊娠できる体になっていくのですから。そして、どんな人にもやがて「閉経」が訪れます。
「女性の体は7の倍数で変化する」。これは2000年以上前に書かれた、中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』に書 かれている言葉です。この法則に従うと、「14歳で初潮、7×7=49歳で閉経」ということになります。現代と若干のズレはありますが、2000年にして1〜2歳の差。時代は変わっても、女性の体はそれほど進化していないのかもしれません。

女性の体は7×4の28歳までがピーク。7×5=35歳は、肌や髪にはっきりと加齢による変化が見えてくる年齢。7×6=42歳以降は、白髪がかなり目立ちはじめ、生殖機能にも衰えが……とくると、自然の摂理というものは、太古の昔からほとんど変わっていないんだなあ、としみじみしてしまいます。
「7の倍数」という発想そのものもユニークですが、それ以上に すごい!と思ったのは、女性の体に起こることが、ひとすじの流れのように連綿として「つながっている」ことをなにげなく示しているところ。初潮も妊娠・出産も更年期も全部、それぞれが1本の線のように「つながっている」のに、それをあまりにも意識せずに過ごしているなあと、ひとり反省したりもしました。
例えば、 10〜20代のころは平気で体を冷やすような格好をしていたこと。 生理に関して無頓着だったこと。若いころにむちゃをしても、それが更年期まで響くとは考えもしなかったこと。
などなど、思い当たることはいろいろありましたが、とりあえずは「生 理」を見直してみよう、とそのときに思いました。


生理中の正しい過ごし方

漢方
中医学では、生理には体を「掃除」する役目があると考えられていて、このときに出すものを出しておかないと、月経痛や血行不良の原因になると言われています。トラブルを避けるためには、まずは体を冷やさな いようにすることがたいせつです。また、月経血とともに「気」という エネルギーも外に出ていく時期なので、よい気と血を外から補うことも必要です。

つまり、冷えや過労は避け、上手にエネルギー補給をするのが、「生理中の正しい過ごし方」ということになります。

・生理中は、おなかと腰、足は冷やさない。
・ナツメ、枸杞の実、黒砂糖、黒ゴマなど、
 「気」と「血」を補う食べものを積極的にとる。
・冷たいものや生もの(生野菜、刺身、果物など)はできるだけ避ける。
・夜更かしはやめる。睡眠時間もふだんより多くとる。


これが、中医師(中医学のお医者さん)に教わった「生理中の養生法」です。ちなみに、これらのオキテは、中国の女性なら誰でも知っている 「あたりまえのこと」なのだそうで、その中医師からは「日本の女性は、なぜ知らないの?」と逆にびっくりされてしまいました。


基礎体温表で、体質傾向が分かる?

生理中の生活を変えると、いろいろおもしろいことが分かってきました。そして、あまり見る機会のなかった月経血をじっくり観察するようになりました。生理の周期にも敏感になりました。もっと体の中で起こっている出来事を知りたくなって、基礎体温表もつけるようになりま した。

基礎体温というと、中医学とどういう関係があるの?と思われるかもしれません。でも、現代中医学では基礎体温の研究も進んでいて、西洋医学とはまた違った解釈があり、それはそれはおもしろいのです。
例えば、一般的には低温期と高温期が二相性になっていて、高温期が14日あれば正常、ということで片づけられがちですが、中医学では「全 体的に体温が低い」「高温期が不安定」「低温期から高温期の上がり方が鈍い」「低温期が高く、高温期との差が少ない」といった特徴を、体質的な問題点や体の状態を判断する材料にするのです。
そして、生理中だけではなく、「低温期」「高温期」に合わせた養生法 というものも存在します。確かに、生理が終わったあとと始まる前では 体調も体の状態も違うのですから、生活のしかたも違って当然なのかもしれません。

とはいえ、ふだんの生活でそこまでのことはできない!というのが正直なところ。とりあえず、もっともたいせつな生理の期間だけ、生活にちょっとだけ気を配ることにしました。たったそれだけのことなのですが、数年経って気づいたのは、「体温が確実に上がっている」ということ。36度を切ることもあった低温期が、いつの間にか平均 36,5度くらいになっていたのです。

目に見える結果は特に求めていなかっただけに、その変化には自分でもびっくり!でした。それからさらに数年後、私は妊娠したのでありました。


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監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長




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