当帰(とうき)と黄耆(おうぎ)
「血」を補う生薬の代表格、「当帰」
当帰はセリ科の植物で、生薬としては根が使われます。血(けつ)の不足があるときに用いる「補血(ほけつ)」の薬の代表格です。温性(おんせい)の薬で、妊娠中や産後ばかりではなく、月経のトラブルや更年期障害など、婦人科ではもっとも出番の多い生薬といえます。
当帰が含まれた漢方薬で、日本で有名なのは「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。当帰のほか、ビャクシャク、ブクリョウ、ビャクジュツ、タクシャなどの生薬が含まれていて、血を補う作用と、水分代謝をよくする作用があります。とても穏やかな薬です。
「帰脾湯(きひとう)」にも当帰が含まれています。帰脾湯は、気(き)と血を補う漢方薬で、黄耆や竜眼肉(りゅうがんにく)、ナツメの一種である酸棗仁(さんそうにん)なども入っています。保険の効く漢方薬ではありませんが、当帰の含有量の多い漢方薬として、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」という製剤もあります。
ちなみに、帰脾湯に入っている「竜眼肉」は、ライチに似た果物で、北京などではドライフルーツとしてスーパーなどにも売られています。これがとっても美味!!「酸棗仁」も、ちょっと酸っぱいナツメという感じで、なかなかおいしいのです。こんな食材が、日本でも簡単に入るようになるといいですね♪
「気」を補う作用にすぐれた黄耆(おうぎ)
黄耆は、マメ科の植物で、こちらも薬としては根の部分を使います。黄耆も温性で、補気薬の代表格です。疲れやすく元気がない、冷えやすい、汗をかきやすい、風邪をひきやすいなど、気の不足からくる症状に幅広く用いられます。「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や帰脾湯など、日本でよく用いられる薬にも含まれています。
中国では、根だけでなく、葉や花も含まれた黄耆茶というものをよく見かけます。黄耆には、補気作用のひとつとして、
外敵から体を守る作用があり、風邪や花粉症の予防にも効果があるといわれています。
使用上の注意
当帰や黄耆は、漢方生薬の取り扱いをしている薬局で手に入れることができます。ただし、注意して欲しいことがあります。
当帰も黄耆も、中国では薬膳材料として気軽に使われていますが、日本の薬事法下では「医薬品」なのです。
助産師さんが妊婦さんに薦めるときなどは、その点に十分ご注意ください。