7.お産の体験をシェアーしよう
マタニティ・クラスでは、コースが終わってしばらくしてから、生まれた赤ちゃんたちの同窓会をしています。あたたかくなり、いいシーズンになってきたので、昨年の春クラスの参加者と赤ちゃんたちが集まりました。
3〜8ケ月の赤ちゃんたちが勢ぞろい。
みんな裸になって母親のオイルマッサージを受けます。それはそれは楽しい時間。裸ん坊の赤ちゃんたちが、一列に並んだときには圧巻でした。けれど、ひとりが泣きだすと全員が泣き出し、大合唱になりました。それを見て、大人たちは笑ってしまいましたが、本人たちにはちょっと辛い時間(ほんの数分でしたが)だったかも。
もう一方で、この日は母たちのお産を振り返る日でもあります。幸せなお産もあれば、思った段取りとはまったく違うお産になってしまった人もいます。
ある人は助産院での出産を予定していたのに、27週で切迫早産の疑いがあると、近所の病院に入院。退院できると思っていたら、なんとそのまま1ケ月以上の入院生活を強いられ、結局、予定日より3週間も早く、その病院での出産に。自分の希望がかなえられなかったばかりか、その入院生活が気持ちの上でまだ納得できていないといいます。それを思い出すと、今でも心が痛い。人に話すことさえ、辛いと言います。
42才の高齢出産の人は、おなかが痛くなって入院。2日たっても痛みは続きますが、子宮口はいっこうに開いてこない。医師が診察すると、なんと腸ねん転だということが判明。すぐに病院の外科の手術室で帝王切開に。赤ちゃんは誕生後、すぐに新生児室に運ばれ、彼女はそのまま外科の手術を受けたといいます。ほんとうに何が起こるかわかりません。この方のケースは、大きな病院だったからこその迅速な対応だったといえます。
一方で、こんな人もいます。
その方は妊娠中、マタニティ・クラスで「私、あんまり赤ちゃんを欲しいと思えないんですよね」と言っていた人。妊娠していたにもかかわらず、妊娠をなかなか受け入れられずにいました。けれど、出産が近くなるにつれて、彼女はヨーガに通ったり、毎日ウォーキングをしたりと、かなり前向きな妊婦に変身。顔色も生き生きしてきていました。お産は助産院での水中出産。赤ちゃんは水の中ではなく、ベッドの上で生まれましたが、とてもいい満足のいくお産でした。
そして彼女は、「今はとっても幸せ。妊娠中の悩みがどこかへ吹っ飛んでしまったみたい。悩みも何もなくて、人生の中で今が一番いいかもしれない」と。
お産はほんとうに、人それぞれです。妊娠中は、お産がゴールだとだれもが思っていますが、実はお産ははじまりのとき。なので赤ちゃんが生まれると、日々の世話に追われて、お産のことはだんだん頭の角に追いやられてしまいます。
でも、お産がどうだったか、どう感じたかということは、胸にしまっておかないで、みんなでシェア−すると心が軽くなることもあります。
クラスは、この同窓会を終えて、はじめみなさん卒業となるのです。
マタニティ・クラス 『Tea for You』
第7回 2003.5掲載