不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」
日本の不妊医療について感じること N・Aさん、研究者、New York, USA
不妊医療を受けることを自然に受けとめたい M・Mさん
冷え性の克服 ぴよよ さん、エドモントン
アメリカでの代理出産 KBさん、カリフォルニア州
心のケアを担う場所を S.Kさん
1. 日本の不妊治療は働きながら通える環境にはない。
検査は期限が限られています。でも、治療は無期限、そして予定もたちません。日本では、勤務先からタクシーで15分ほどの不妊外来というのに通いましたが、待ち時間は約2時間で仕事をしながら通えるものではありませんでした。また、医師に次回の受診日は都合が悪い旨をいうと仕事か子供かの選択を示唆される始末で、日本では二兎は追えないのかと思ったものでした。こちらに来ると、マンハッタンの真ん中のセンターであるからでもあるのでしょうが、仕事を持つ女性がほとんどと見受けられます。そして、なによりも救われるのは、朝7時から受け付けで、早く行きさえすれば仕事には全く支障ありません。もちろん、土日もやっています。また、ホルモン注射は全て自己注射もしくはパートナーに打ってもらう。私も、主人に打ってもらいました。従って、治療中ももちろん採卵する時と胎芽を子宮に移植する時には休まなければいけませんが、その他は、時間的には仕事との両立が可能なのです。2.アメリカの不妊治療は情報が全て公開されている。患者も受け身ではいられない。
第1回目と特別に予約をとった時以外は、アメリカでも診療は3分間診療でした。内診台の上で経膣エコーをしながら、話しをするだけです。医師も、行くたびに変わります。一時は私も、説明不足に対し、主治医に不満をぶつけました。でも、その施設のホームページをのぞくと、ちゃんとそこの施設の治療の仕方、薬についての説明があり、最新の約1年間の成績が40歳未満、40歳以上で明記されているのです。過去のデーターに基づいた治療をなされていることを確認でき、安心させられました。もちろん、医師に説明を求めてもすぐに説明は戻ってきますが。また、ボイスメイル、E-メイルで質問すれば、すぐに返事が戻ってきます。日本でも、不妊治療を積極的に行っている施設はたくさんあると思います。それでも、アメリカのように1施設に症例は集まっていないせいもありますが、情報公開がまだまだと思うのです。また、こちらの患者さんは本当によく勉強しています。こちらの医療だって何から何まで説明してくれるわけではありません。ぽんと何ページもある専門用語だらけの承諾書を兼ねた説明書を渡されるとか、質問しなければ、それこそ全てわかっているとして対処されてしまうのです。アメリカでは患者は受け身ではいられない。そのためか、ウェブサイトでも病気に対する正確な情報を結構入手しやすいような気がします。3. アメリカでは不妊治療は夫婦で受ける。
アメリカでは、共働きは普通です。周りの人たちも子育ては夫婦でほぼ同じ負担でやっており、それと同様、子づくりについても、ほとんどの場合、痛み、苦しみ、楽しみを夫婦で分かちあおうとしています。不妊治療についても考え方は同じです。不妊外来も多くの人たちは夫婦で来ていますし、診察室にも一緒に入ります。妊娠すると、職場の人たちも心から祝福してくれます。不妊治療、妊娠に対する精神的なストレスが、これらによって軽減されるような気がします。4. 不妊治療費負担について。
アメリカでは、不妊治療に対しては、保険によって異なるようですが、薬と検査の一部については保険が効くようです。でも、医療費が(マンハッタンがまた特に高いのかもしれませんが)なにしろ高い。不妊治療についていえば、おそらく3倍から5倍の金額なのではないでしょうか。だから、一部のヨーロッパやニュージーランド、オーストラリア(よくは調べてはいませんが、年令や回数によっては負担はほとんどないときいています)に比較すると、そんなに恵まれているとは思えません。日本政府も、本気で少子化対策を考えているのであれば、子供を生みたいと思っている夫婦の経済的負担を軽減すべく、医療費とは別枠で考えてはもらえないものでしょうか。 コウノトリVOICEバックナンバー
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