高気密・高断熱住宅のわが家は猫も納得の温かさ
ーー 暖房を種類によってうまく使い分けたり、組み合わせたりする方法を前回はお話頂きましたが、今回はさらに効果的に暖房を効かせるちょっとした工夫を教えて頂きたいと思います。
「家自体の断熱性能をある程度のレベルに高めれば、暖房器具を選ばずとも快適に過ごせるようになります。わが家は標準的なセキスイハイムの家(ツーユーホーム)なのですが、なのですが、冬場の暖房器具はエアコンだけ。家族で集まるのが好きなのでコタツも出してはいますが、スイッチを入れると暑くなりすぎる時もあり、すぐに切ってしまいます。飼っている猫も出てきてしまうくらい(笑)。
ヒートショックの心配も少なくなります。断熱をしていない家の場合、暖房しているリビングが25℃くらいなのに対し、トイレや浴室は5℃くらいといった、温度差が20℃もつくような場合もあります。
温度差を小さくする方法として、暖房を24時間し続けるという方法があるのですが、一般の住宅では約8℃ぐらいまでしか縮まらないのに対し、
高断熱住宅なら、約3℃まで温度差を小さくすることが出来ます。
また、朝の冷え込みも大きく違います。夜寝る前に暖房を切った場合、一般の住宅では朝起きた時10℃以下になることも珍しくありませんが、高断熱住宅では15℃以上にもなり、朝暖房なしでも過ごせる期間が長くなります。他にも、夜中にトイレに起きた時など、家のなかが余熱である程度温まっているから、布団から出るのがさほど苦に感じないのです。
室内の上下温度差も冬場の不快要素ですが、高断熱高気密住宅ではそれも解消される。暖房時の足元と頭のあたりの温度差は10℃以上になることもありますが、高気密高断熱住宅は3℃以下に抑えられますから」
※以上すべて東京の気候条件を想定しています。
家の快適性を知るための目印は「次世代省エネ基準」
ーー それほど、今の家は断熱の性能が高くなっているのですね。
「そうです。快適性があがるだけじゃなく、冷暖房の消費エネルギーが削減されて地球環境の保全にもつながる、といったことから、世の中が住宅の高気密、高断熱化を進めるほうへ流れています。
平成11年には国が住宅の断熱性能、気密性能のレベルを表す『
次世代省エネ基準』を制定しました。これは、住宅の高断熱、高気密化のレベルを今迄以上に引き上げて、これまでの冷暖房用消費エネルギー量を20%削減させるための指針です。
北海道から沖縄までをⅠ〜Ⅵの6地域に分けて、地域ごとの気候条件に合わせた断熱気密レベルを定めています」
ーー 寒冷地の基準レベルが一番断熱性能が高い、ということですか?
「そのとおりです。これから新築するときにはこの次世代省エネ基準に適合しているかどうか、またどのくらいのレベルなのかをチェックするといいですよ。
実はこの基準に適合している住宅を選ぶと、ちょっとうれしいおまけがついてきます。住宅金融公庫の融資が250万円割増されるのです。それに年間の冷暖房費もおよそ半額になるし、お金の面でずいぶんメリットが生まれます」
家の断熱効果をアップするプチリフォーム
ーー なるほど。新築を考えている人たちにとっては知って得する情報ですね。
今住んでいる家で、そうした高断熱・高気密に近付けるためのアイデアはありますか?
「多少の改造をするなら、いくつか方法があります。
一番手軽なのは断熱型のスクリーンを設置する方法。ロールアップタイプや障子戸タイプなど商品はいろいろあるので、好みで選べます。また、枠はそのままでガラスだけ
ペアガラスに変えるという手もある。ペアガラスとは二枚のガラスの間に空気層を設けて断熱性能を高めたもの。一枚ガラスと比べると、断熱効果は2倍になり、窓全体で考えると1.4倍になります。ガラスの結露も起こらないのでこれだけでずいぶんと快適性が高まります。もう少しお金に余裕があるなら、
サッシごと高断熱タイプに変えたほうが、より効果は高くなり、枠の結露まで抑えることができ、防音効果もあがりますよ。
参考までに費用のお話をしておきましょう。リビングの掃き出し窓(幅1.8m×高さ2mぐらい)で断熱スクリーンが約5万円(自分で取り付けの場合)、ペアガラス交換が約10万円(工事費込み)、ペアガラス断熱サッシ交換が約20万円(工事費込み)というのが標準的だと思います」
ーー ちょっとしたリフォームで、断熱性をあげることができるのですね。
寒さが厳しい季節は、やみくもに暖房をきかせることばかり考えてしまいがち。しかし、これまでのお話を伺うなかで、家のなかのいくつかのポイントをおさえれば、暖房を2倍にも3倍にも生かすことができることがわかりました。賢く暖房器具を組み合わせ、加湿器や扇風機を効果的に使い、窓周りを断熱する。
省エネにつながり、家計も大助かりの暖房生活をぜひ実践してみてください。
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