窓から入り込む冷気はカーテンの工夫でシャットアウト
ーー 暖房を種類によってうまく使い分けたり、組み合わせたりする方法を前回はお話頂きましたが、今回はさらに効果的に暖房を効かせるちょっとした工夫を教えて頂きたいと思います。
「寒さが厳しくなってくると、暖房を使う時間が増え、温度も高く設定するのでエネルギーをたくさん使うことになります。しかし、ちょっとした一手間を加えることで、暖房コストを低く抑えることが可能なのです。省エネにもつながるのでぜひ実践して欲しいと思います。
まずは、冷気をなるべく入り込ませない対策をとると、効果がぐっと高まります。暖房をしているとき、足元はひんやりしているのに、頭はぼーっとするように感じることは多いですよね。これは、暖まって軽くなった空気が上のほうにたまり、冷たくて重い空気が下にたまるため。この現象を起こす大きな原因が窓。窓から流れ込む冷たい空気が床を這って室内に流れ込むことで、上下温度差を大きくしたり、暖まった空気が逃げたりするのです。室内の熱の6割が窓や扉、隙間などの開口部から逃げていると考えられています。
その対策法として、
カーテンにひと工夫するのが一番手軽で効果も高いのでおすすめ。床まで届くように下げて冷気の流れを抑えたり、カーテンの両端や下をベルクロ(マジックテープ)などで窓枠にぴったりと貼付けるという方法があります。また、上部をレールだけでなくカーテンボックスにすると、上からの空気の流れも抑えられてより効果が上がりますよ。
ただし、日中、暖かな陽射しが室内に差し込むときには逆にカーテンを全開にしたほうが、太陽の光で室内温度が上がりやすくなります」
真冬に扇風機が大活躍!?
ーー 今は断熱カーテンといった厚手のものもありますから、冬場はそれに付け替えてもいいですね。
「とても有効だと思いますよ。また、市販の断熱シートもありますから、窓に直接張り付けるという方法もありますね。
あと、室内の上下温度差をなくすためにシーリングファンや扇風機を時々回して室内の空気を撹拌する方法も有効です。エアコンやファンヒーターなら温風を出すので多少撹拌効果がありますが、ストーブ等を使っているお宅ではぜひ試してみて下さい。
暖房を始めてから30分くらいは強めに回し、後はゆっくりと回しておけば大丈夫です。扇風機はできるだけ真上に向けて人や暖房器具に直接風があたらないようにしましょう、撹拌効果も上がります」
ーー 夏が終わっても、冬まで扇風機は出したままにしておいたほうがよさそうですね。
あと、窓際に暖房器具を置くといい、とよく言いますがそれも有効ですか?
「その通りです。暖房器具は冷気が入り込む場所(窓際や扉の近く)に置くのがいいでしょう。そして、暖房器具の周囲には何も置かないことも大切。暖かい空気の流れが邪魔されて、暖房の効率が落ちますから。
エアコンや石油温水器等の室外機を設置する場所も同じです。周囲に空気の流れを邪魔する障害物があると、吸排気がスムーズにいかずに機械の能率が下がるので注意してください。また、床が板張りの場合は輻射温度が低くひんやりとしがちなので、冬場はよくいる場所だけでもカーペットを敷くようにすると暖房の保温効果が高まりますよ」
ーー なるほど、上下温度差と輻射温度の対策が有効なのですね。
他にも注意した方がよいことはありますか。
「室内の隅っこのほうは暖かい空気が届かずに温度が低くなりがちで、そこへ家具等を置くとさらに暖房熱が伝わらずに裏側が冷たくなり、その分湿度が高くなってときには結露することも。
家具は壁からはなして湿気のこもりを防ぐとともに、暖かさを伝えやすくしておきましょう。できれば家具を置く場所は冷えやすい外壁側を避けて、間仕切り壁側にレイアウトするのがベターですね」
上着を一枚多くして、暖房温度を2℃低く
ーー 暖房の温度を高く設定しなくても、いくつかの工夫で暖かさは得られるのですね。
「そうですね。単純に着ているものを一枚増やす、靴下を2枚履くだけで暖房の温度は低く設定できます。暖房温度20℃のなかで上着を1枚増やすと、22℃の体感になるといいます。
暖房設定温度を2℃低くすることで、約10%の省エネにつながりますから、とても効率がよいと言えますよね」
ーー 室内と室外の温度差が抑えられれば風邪予防にもつながりますし、一石二鳥の考え方ですね。
上手なカーテンの使い方、真冬の扇風機、上着を一枚多くして。
そんな工夫をプラスして、今年の冬は快適&省エネの暖房生活にしたいと思います。
| エコ的プラスワンレシピ-7 冬のかさかさ肌にシアバター |
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