子どもの発達と脳の不思議3
赤ちゃんの心のめばえと発達
談・開 一夫(東京大学大学院総合文化研究科助教授)
早期教育は本当に必要なのだろうか。テレビなどのメディアとのつき合い方はどうすればいいのか…。子育てをする上で悩みごとは尽きません。しかし、大切なのは、発達のプロセスを正しく理解したうえで、子どもに働きかけることではないでしょうか。
第3回は、赤ちゃんの"心"のメカニズムを研究している「赤ちゃん学」の提唱者、開一夫先生にお話をうかがいました。
「子どもを育てている人なら、『この子は私の言うことを理解しているようだ』とか、『うちの赤ちゃんは泣いてばかりで、何もわかってないようだ』といった気配を感じた経験はきっとあるはずです。その"気配"を実証的に明らかにするのが、赤ちゃん学なのです」と開先生は言います。
赤ちゃんとのさまざまな「実験」を通してわかった、脳と行動の発達について解説していただきました。
協力/NPO法人市民科学研究室 写真/Kikuchi Sakae
2007年2月掲載(専門家の肩書きは取材当時)
Part.1
私たちがふだん何気なく行っていることは、たくさんあります。たとえば、朝起きて鏡を見ながら髪を整えたり、服装を選ぶ。昼下がり、友人や仲間とコーヒーを飲みながら、おしゃべりを楽しむ。夕食後、好きなテレビドラマを観て過ごす。※1…これを「馴化」といいます。
※2…こうした行動レベルの実験とともに、赤ちゃんがテレビを見ている時の脳波と実物を見ている時の脳波をそれぞれ測定して、脳機能レベルでの認知の違いを調べる実験も、現在行っているところです。
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