赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!

歯育・子どもの歯を育てる

2. 赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!【Part.3】

取材協力・監修:北原信也 先生(2006年11月掲載・2017年11月再編集)

妊娠初期の胎生7週目には乳歯のもとが、14週目には永久歯のもとがつくられ始めます。しかも、胎児の時期からお母さんの羊水を通して味覚も形成されていくのです。
赤ちゃんの歯や味覚が健やかに発育するためには、お母さんの食生活やライフスタイルは重要なポイント。
シリーズ2回目は、胎児の歯はどのようにつくられるのか、妊娠中の喫煙や化学物質が胎児に及ぼす影響、そして赤ちゃんの健康な歯をつくるマタニティの食事について学んでいきます。

【Part.1】虫歯予防はマイナス1歳から!

【Part.2】喫煙が妊婦と赤ちゃんの歯に及ぼす影響

【Part.3】妊婦の食事が赤ちゃんの健康な歯をつくる



歯をつくるカルシウムは不足しがち

女性の1日の食事から採るべきエネルギー量は、1800〜2000kcalと言われています。それが妊娠すると胎児、胎盤の発育や母体のエネルギー維持のために妊娠中期で+250kcal、後期で+500kcalが必要になります。赤ちゃんの歯をつくるために特に必要な栄養素として挙げられるのが、カルシウムやリンなどのミネラル分。特にカルシウムは歯の石灰化を助け、健康で丈夫な強い歯をつくります。

「日本人が特に不足しがちなのが、赤ちゃんの歯をつくるカルシウム。カルシウムが少ないとイライラしがちになります。ゆったりとした気持ちでマタニティ生活を送るためにも、緑黄色野菜や小魚など、なるべく自然の美味しいものから摂取したいものです」と北原先生は話します。

カルシウムの多い食品は?

カルシウムの含有量が高い食品としては、牛乳、チーズなどの乳製品や、煮干し、しじみやあさりなどの貝類、わかめ、ひじきなどの海産物、豆腐などの豆類や小松菜、チンゲン菜、春菊などの青菜。カルシウムは妊娠していない時で1日の摂取量は600mgが目安です。妊娠中はその目安量をしっかり摂ること。妊娠中は腸管でのカルシウム吸収率が著しく増加するため、余分にカルシウムを摂ろうと無理してたくさん食べすぎる必要はありません。また、カルシウムの代謝を助け、歯の石灰化を調節するビタミンDも積極的に採り入れましょう。カツオ、サンマ、干ししいたけなどに豊富です。リンはカルシウムと同様に歯の石灰化を促進しますが、採りすぎはかえってカルシウムの吸収を妨げます。緑黄色野菜を一緒に食べることで、リンの量を調節することができます。

また、たんぱく質は歯の基礎になります。卵、豆腐、魚肉、畜肉などに多く含まれます。豚肉、レバー、ホウレン草に多く含まれるビタミンAはエナメル質の土台に、ミカンやジャガイモなどに多いビタミンCは象牙質の土台になります。
妊娠中は胎児に酸素を運ぶために血液の量が増えます。酸素を運ぶ赤血球のもととなる鉄分は、多めに補給するようにしましょう。鉄は吸収がわるいので、赤い色の肉(マグロの赤身、牛肉)に含まれる吸収のよい鉄がおすすめです。安全で美味しい食べ物をよく噛んで、栄養を効率よくしっかりと吸収することで、おなかの赤ちゃんもすくすくと元気に育つはずです。
マタニティの歯のケア

One Point Advice
北原先生のワンポイント・アドバイス
妊娠中は赤ちゃんにカルシウムが取られるって、 本当?

北原 信也(きたはら・のぶや)先生(ノブデンタルオフィス院長)
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。


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歯育・子どもの歯を育てる インデックス

1.赤ちゃんのために知っておきたい
 マタニティの歯のケア

2.赤ちゃんの歯の健康は胎内からスタート

3.乳歯の生える時期と赤ちゃんの虫歯

4.0歳からの歯のケア

5.はじめての離乳食と歯の健康

6.よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

北原先生のワンポイント・アドバイス


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