妊娠・出産という大仕事に備えて、どんなふうに体を整えていったらいいのか、また、ストレスとどう付き合っていくべきか、など、妊娠前からぜひとも実践しておきたいことを、助産婦、鍼灸師、セラピスト、ヨガ、アロマテラピストなど、専門家の方々に取材し、妊娠前の生活についてアドバイスしていただきました。


プレマタニティの生活
妊娠・出産に備えて、今できること-1

妊娠に備えて体を整えておく

たつのゆりこさん プロフィール
助産婦、鍼灸師。看護婦として大学病院から助産院まで幅広い勤務経験をもつ。女性の一生の健康をトータルに診ていきたいと、97年に治療室Be bornを開設。妊産婦のマイナートラブル改善のために鍼灸師の資格を取得。アロマテラピー、ホリスティック医学、東洋医学、食養を始めとしたホリスティック医学にも造詣が深い。


妊娠に備えて体を整えておくことは、とても大切なことだと分かっていても、実行するのは案外難しい。

いつ妊娠していてもおかしくない、という状態に入れば、ある程度真剣にならざるを得ないけれど、「いつか」「そのうち」のために、今から努力をするというのはどうも…と思う人も多いだろう。

「そんなに深く考えなくてもいいんですよ。体を整えようと頑張って、かえってストレスを抱えてしまうようでは本末転倒。むしろ、妊娠したらできなくなることもあるだろうから、今のうちに十分楽しんでおこう、っていうくらいのほうがいいんです」。

こんな頼もしいアドバイスをしてくれるのは、治療室Be bornの室長、たつのゆりこさん。助産婦として出産介助をする一方で、女性の一生を通して体をみていきたいと、プレマタニティのケアにも力を入れている。


「妊娠前の体作りで大切なのは、まず、消化・吸収・排泄という体の機能を整えておくこと。これが基本です」。となると、やはり大切なのは食生活、ということになるのだろうか。

「もちろん、食生活にもある程度気を配ることが大切ですが、あまり厳しい食事制限はストレスのもと。ごちそうを食べすぎちゃったな、というときには、消化を促進するフェンネルやレモングラスなどのハーブティーを飲んでおくとか、代謝をよくするためのマッサージをする、というだけで十分効果があります」。なるほど、その程度のことなら、ふだんの生活の中でも十分に実行できそうだ。

「消化・吸収・排泄の機能を整えることは、血のめぐりをよくして、体の冷えを予防することにもつながるんですね。体が冷えていると、妊娠しづらくなることもありますし、妊娠したあともトラブルが多くなりがち。冷え症の人は、ぜひともプレマタニティのうちに治しておきたいですね」という。
冷え症の改善には、「まず服装に注意すること。下半身、それからうなじを冷やさないように注意してください。冷たいものや生ものは多食しないようにすることも大切。あと、熱めの湯での足浴もおすすめです」。


もっと積極的な体作りを望むプレマタニティには、2WAYマッサージという手もある。
「皮膚というのは心と密接なつながりがあるんですね。だから、パートナーとのマッサージは、お互いの心を癒すことにもつながると思うんです」。ちなみにBe bornでは、2WAYマッサージのワークショップも開いていて、「子どもがいつできてもいいように、体を整えておきたい」「子どもが欲しいけれどなかなかできない」というカップルの好評を得ている。

「最後にもうひとつ。プレマタニティだけでなく、一生を通していえることですが、健康を維持するためには、心をほぐしておくことが何より大切だと思うんです。これは、私のモットーでもあるんですが、『怒』の感情は、できるだけ持たないようにすること。とにかく笑っているだけで、心も体もゆるみます」。怒るということは、中国医学やアーユルヴェーダ医学でも「禁」とされているのだそう。それに、怒ると体調にひびくばかりでなく、周囲に迷惑もかける。
「マッサージもスポーツも、たまっているストレスを抜ければ効果的ですが、不完全だったら意味がないですよね。それよりはむしろ、笑う機会を増やすだけで、かなり効果があるはず。大声を出す、というのもストレス発散効果がありますから、カラオケなどもいいかもしれません」。


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