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不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」


出産の現場から
 ・・・病院勤務助産師/九州


 勤めている病院のそばに有名な不妊専門クリニックがあります。ここ数年、そこから紹介されてくる方が目立つようになりました。不妊治療をされた妊婦さんは増える傾向にあると思います。
勤めている病院の産婦人科では、月100例ほどの出産がありますが、今年の7月は、そのうちの7組が双子でした。多胎が増えているのも、不妊治療の影響でしょう。双子ちゃんのお母さんの中には、「4つ子だったのですが、双子にしました」という方もいました。減数手術は事実上は禁止されていますが、水面下では行なわれているのではないでしょうか。

 体外受精で出産したある方は、上にお子さんがいらっしゃるのですが、そのひとり目のお子さんを、アメリカで代理母出産をしたと言っていました。長年、不妊治療をされていて、赤ちゃんに恵まれなかったので、配偶者間の借り腹を選んだということでした。現地に足を運んで、代理母になってくれた人とは友だちのようになり、これからもやり取りをしていきたいと話していました。その方が、上の子が1才になる前に、もう一度チャンスに賭けてみたいということで、凍結授精卵を自分に戻し、運よくふたり目を妊娠されました。どうしても、自分のおなかを痛めて出産したかった、ということなのでしょうか。
  不妊治療の成功率は年々高まっていますが、いい面ばかりが強調され、見落とされている部分もあるように思えます。地域のNICU のある基幹病院へ、ある一定の施設から搬送される赤ちゃんが増えているという事実もあります。不妊治療をして、妊娠してから早産になったり、多胎児で送られてくるケースです。 NICU での高度医療によって、赤ちゃんの多くは元気に成長するようになっていますが、長い期間保育器に入っていなければならない赤ちゃんも、それを見守る両親にとっても、入院治療は精神的にも経済的にも負担をしいられることになります。

 最近は結婚して1年ほどで、治療をはじめる人も多くなってきました。治療が確立されてきたから、「早めに治療して子どもをつくる」と考えていらっしゃる方は多いようですが、治療をはじめると、身体的な負担や、目には見えてこない精神的なストレスも出てきます。
私は地域で、不妊治療をしている人や妊娠できずにいる人のために、治療のすすめかたや、医師からの説明を解説したりする場を設けていますが、こうしたサポートグループは、全国的に見ても少ないのが現状ではないでしょうか。マタニティの時期は、集まる機会も多く、病院や保健所などでクラスもありますが、不妊で悩む人の話を聞いたり、相談に乗ってくれる場が少ないのはとても残念です。
治療がどのようなものなのかを、しっかり見極めた上で治療を続けてほしいですし、まず、どうして子どもを産むのか、子どもを育てるということがどういうことなのか、ということをいっしょに考える場があるといいですね。


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