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不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」


不妊医療とのつき合い方<総集編>


 不妊治療が現在のように、ポピュラーになってきたのは、ほんのここ十数年のことです。さらに、先端的な生殖医療は日進月歩。年々新しい治療法が登場してきます。長年、医療の中で検討されてきた出産についても、産む人やその家族に医療の情報が公開され、インフォームド・コンセント(説明と同意)と、インフォームド・チョイス(説明された上での選択)がだんだんと浸透してきたのは、ここ10年ほどのことです。
そういう意味で、不妊医療の状況の情報の公開と選択は、まだまだこれからの分野と言っていいでしょう。数多くの医療機関で不妊治療が行なわれていますが、それぞれの施設ができる治療の範囲はまちまちです。自分にあった治療がどこで行なわれているのかを、まず見極めることが必要になってくるでしょう。けれどこれについては、病院や専門クリニックの情報公開がまだ整備されていない現状です。



不妊治療の確率

 一方、不妊治療が年々その効果を上げ、不妊治療に関するいろいろな情報が出てきたおかげで、治療を受けることによって妊娠できると期待する人が多くなってきました。とくに人工授精や体外受精などは、治療さえ受ければ成果が上がると考えられがちですが、実際には全体の3割ほどが妊娠するくらいの確率でしかありません。3回トライすれば、だいたい成功すると言われることもありますが、それでも3回受ければ全員が1回は妊娠に至るというわけでもないのです。また、多くの医療機関が公表している数字は妊娠の確率であって、出産した確率ではないということも知っておく必要があります。もちろん、多胎の可能性も自然妊娠よりずっと高くなります。
同じように、不妊治療がポピュラーになることで、早めに治療すれば成果が上がるのではないかと、不妊治療をスタートするのが早くなっている、という指摘もありました。高齢出産が増えてきているという状況に加えて、不妊に対する不安感や医学的治療への期待から、結婚後半年や1年目ほどで検査をしたり、治療をはじめる人も多くなっています。



生活習慣の見直しも

 治療をはじめると、検査をしてとくにはっきりした原因がわからない場合にも、ホルモン治療を受けることがほとんどです。けれど、原因がはっきりしない場合には、医療に全面的に依存する前に、日頃の運動や食、生活習慣を見直すことによって、体質が改善されることはよくあることです。
本の紹介の中でもとり上げた『「赤ちゃんがほしい」自然療法ガイド』というイギリスのガイドブックは、治療をはじめる前に、カップルでできることをチャレンジしてみようというプログラムが紹介されています。その中には、カップルで「子どもをもつ」ということをしっかり話合うという項目も設けられています。



治療をはじめたら

 検査や治療を受ける前に、いくつかの病院やクリニックに電話や直接行くなどして、事前に治療内容などを問い合わせてみるのも、ひとつの方法です。 治療をはじめたら、まず医師から治療の今後のとり組み方のスケジュールを聞き、カップルでそれについて検討してみましょう。医師にすべてを依存するのではなく、自分たちでも情報を集め、自分たちなりの治療スケジュールをたててみるのもいいかもしれません。それによって、同じ治療法をだらだらと何週期も続けるのではなく、ステップアップしていくことについて医師と相談したり、ときには休んだり、施設を変えたりすることを検討することができるようになるのではないでしょうか。
また、医療機関の中にコーディネーターか、カウンセラーがいたら、相談窓口を十分に利用したいもの。医療機関にそうした相談窓口がない場合には、電話相談を行なっている機関もあります。


1.コウノトリはやってくる?

2.先端的不妊治療の中で

3.もう一つの不妊治療

4.不妊症のメンタルケア

5.コウノトリと母性



コウノトリVOICEバックナンバー
 過去ログ:2003年〜2011年 11月まで


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