自分でつくる!赤ちゃんすくすく環境
専門家コラム【2】
妊娠中から始められる 取材協力&情報提供/邱 紅梅(きゅう・こうばい)先生(中医師)
漢方的アレルギー予防法
2005年6月掲載・2017年11月再編集
「衛気」の不足がアレルギーの原因に
漢方では、アトピーや喘息などを発症するのは、呼吸器や腸の粘膜、皮膚の抵抗力が弱まり、アレルゲンから体を守れなくなることが原因とみます。この抵抗力のことを『衛気』といいます。衛気はアレルギーや風邪、インフルエンザの原因が身体のなかに侵入することを防いだり、皮膚や筋肉を温めたりする役割を持っています。この衛気を養うためには、胃腸の粘膜を強化するための食生活の改善が必須です。胃腸の粘膜を強化することで、アレルギーに対する免疫力、防衛力を養うというわけです。旬の食材を多種類、少しずつ食べて衛気を養う
漢方的に考える衛気が養われる食生活とは、旬の食材をなるべく多種類、少しずつ食べることを基本に、刺激の強いもの、冷たいもの、生ものは避けること。特におさしみや生卵、タルタルステーキなどの生のたんぱく質は避けてください。また、過剰な油分、糖分も胃腸には負担となるので最小限に。妊娠中は、身体によいからという思いやつわりの影響で、単品を過剰にとりすぎることがあります。くるみが身体によいからと、妊娠中に食べ続けていたことから、生まれた赤ちゃんがくるみアレルギーになった、という例もありました。良いといわれているものも、過剰に食べ過ぎないこと。バランスよく多種類のものを食べることが大切です。かゆみの原因である「熱邪」を取り除く
もともとアレルギー体質のお母さんの場合は、妊娠中に悪化する傾向があります。妊娠中は精神的に不安定になりやすいこと、抗アレルギー剤やステロイドの使用を中止することも関係しています。この場合は、かゆみの原因である身体の中にたまった熱、『熱邪』を取り除くことで対応します。『清熱解毒』の効果をもつ漢方薬やお茶、食事で症状をコントロールします。妊娠中は心を穏やかに保つことが大切
赤ちゃんへの影響を心配して、妊娠をきっかけにステロイド軟こうの使用を無理に中止し、ひどいリバウンドを起こすお母さんも多いとか。邱先生の薬局では、その場合は無理に中止せずに食事の改善やお茶、漢方薬で症状を緩和させ、薬の量を徐々に減らしてゆく方向へ持ってゆくそうです。漢方で解毒しながら、症状を安定させれば精神的な負担も軽くすることができます。取材協力&情報提供 邱紅梅(きゅう・こうばい)先生
中医師。1985年に北京中医薬大学卒業。同大学の専門外来で臨床経験を積んだのち、1990年に来日。92年、東京学芸大学大学院生理・心理学修士学位取得。現在、東京・恵比寿の桑楡堂薬局にて漢方相談を行うかたわら、各地の講演会で講師を務め、中医学の普及活動を行っている。著書に『わかる中医学入門』(燎原書店)、『生理で診断 体質改善法』(家の光協会)などがある。
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