家で使っているエネルギーはどうやって生まれたの?
エコ運動が高まりはじめてから、これらを販売するメーカーはエネルギー消費の少ない製品をつくり前面にそれを打ち出すようになりました。最近では、IHクッキングヒーターや電気式給湯器を設備した電化住宅も登場し、エネルギー効率の良さや消費エネルギーの低減化をうたっています。確かに、消費するエネルギーが低くなるのはよいことに間違いありません。しかし、電気ですべてのエネルギーをまかなう、となったとき、はたしてそれが地球にやさしいのか?となると少し違う見方もあるようです。
「使い方によっては家庭の光熱費が下ることにつながり、月々のコストでみれば悪くないですよね。でも、地球全体のエネルギーで見てみると問題があると思います。こうした電化の流れは、原子力発電所でつくられる夜間発電の分を消費するために誘導されている部分があります。安い深夜電力は原子力発電に完全に依存しているのです。ご存知のようにそもそも電気は、水力、火力(化石燃料)、原子力の3つの発電でまかなわれていますが、水力が総発電量に占める割合は10%未満ですので(原子力は約30%)、単純に言って電気のほとんどが、“遠くの発電所で何らかの熱源(化石燃料や原子力)を利用して水を沸かし、その蒸気でタービンを回して得られるもの”なのです。発電時の排熱ロスや長大な送電線を通して送り込むための送電ロス(電気抵抗ロス)を考えると、エネルギー効率は40%に達しないと言われています。
エネルギーの流れの入口から出口まで見通してみると、オール電化住宅は本当に適切なエネルギーの使い方なのか?お財布にはやさしいとしても、本当に環境にやさしいと言えるのか?といった疑問が出てきます」と、エネルギー問題に詳しい市民科学研究室の上田さん。
機器単体のエネルギー効率だけで環境性を測ることはできません。エネルギーを使う前に、そのエネルギーがどう生み出されているのかも考えてみる。その上で水道、ガス、電気など家庭内のエネルギーをトータルに検証してみる必要があるようです。
コストだけではわからないエネルギーの使い方
さて、エネルギーの見直し、となればやはり消費する量を減らすことが大前提になります。光熱費も減り、環境負荷も減る、いいことずくめのロハスライフの基本。今すぐはじめたい消費エネルギーのダイエットですが、減らし方にはコツがあるようです。
「以前に、お風呂をシャワーで済ますか湯船に入るかで、消費するコストを調べたことがありました。いろいろな条件を設定して、4人家族(夫婦+子ども2人)で毎日使用した場合で一ヶ月あたりの料金を比較したところ、お風呂のほうが3000円高くつく、という計算になった。この結果だけを見れば、シャワーのほうがお得ということになりますが、ロハス的な視点からいえばそうとも言い切れない。まず、お風呂なら残り湯を洗濯にリサイクルできますね。
また、家族4人で時間をあけずにお風呂に入れば、追い焚きの必要もないからガスの消費が節約できます。子どもが小さいうちならみんなでそろって入れば、家族の楽しいコミュニケーションになる。それに何より、温かい湯船につかる気持ちよさもありますよね。これは、心と身体の健康にいいでしょう」(上田さん)。
いろんなことを考え合わせてみれば、エネルギーの減らし方は変わってくるよう。ストイックにとにかく減らそうとするのではなく、楽しく無理のない方法を考えることが、ロハスライフを長く続けるコツのようです。
以下は、キッチン内で使われているエネルギーを減らす具体的な方法の数々。
今日から習慣づけて、無理なく楽しくはじめてみましょう。
● 食事は家族でそろって食べる。
温めなおすエネルギーや食器洗いに使う水や洗剤の節約に。何より家族の団らんの幸福感が◎。
● もっとも消費電力の大きい家電、冷蔵庫内を見直す。
常温で保存できるもの(トマト、きゅうり、ピーマン、根菜、果物、レトルト食品、缶詰、マヨネーズなど)は冷蔵庫内からリストラを。
詰め込みすぎは消費電力のアップにつながります。
スーパーの陳列棚をお手本に、何が常温保存OKかをチェックしよう。
● 食器洗いはたらいやボウルを利用。水を大幅に節約できる。
たらいに米のとぎ汁をはれば、洗剤の量も大幅減に。汚水も減って一石二鳥。
使った食器を食後すぐに水につけておけば、洗剤を使わなくてすむことも多いし、市販の洗剤に頼らなくてもお酢や重曹をうまく使って汚れを落とすことも可能。合成洗剤などは安全性や環境負荷の面からできるだけ使用を控えたい。
● 電子レンジ、炊飯器などは使用していないときはコンセントを抜こう。
待機電力カット。
● 料理は食べる分だけつくること。
エネルギー、ごみのダイエットに。
食のかたちの先に地球がある
紹介したようなエネルギー消費の減らし方を見てみると、食事の作り方から始末までにどんな方法をとるか?で地球への影響に違いが出ることがわかります。スーパーに買い物に行くときにマイバックを持参するか、ビニール袋をもらうか。プラスティックの容器に入った豆腐を買うか、豆腐屋さんでマイ容器に入れてもらうか。食材の調達法ひとつにしても"地球へのやさしさ度"は現れます。
たとえば「合成洗剤のほうが、合成界面活性剤を使わない天然の石鹸よりも100円安い…どうしよう」となったとき。お財布には厳しくても地球には優しいはず。だから100円は地球にお賽銭、という気持ちで商品を選んでみては。自分のその選択が地球に直結していることをいつも忘れないのが、ロハス的思考を養うことにつながります。