正しくみがいて虫歯を防ぐ - ０歳からの歯のケア

虫歯を見分けるコツは、歯の色で

乳歯は永久歯と比べてやわらかく、エナメル質も薄いため、一度虫歯になってしまうと進行がはやく、5〜6か月で神経まで達してしまうことがあります。また、赤ちゃんは自分で痛さを伝えることができないので、気がついたらどんどん虫歯が広がっていた、ということも。
「毎日の歯みがきで親がしっかりと赤ちゃんの歯をチェックしていれば、万が一虫歯ができても早期の治療が可能です」と、北原先生。

虫歯の見分け方のコツとしては、歯の色を注意深く観察すること。歯の表面が不自然に白く不透明である、黄褐色から茶褐色に汚れているなどは黄信号。色が黒くなり、歯の一部が欠けたり穴が空いていれば、完全に虫歯です。すぐに歯科医へ足を運び、治療を開始しましょう。目で見てわからないくらいの初期の虫歯なら、口の中をきれいにすれば歯が再石灰化することもあります。

「乳歯はいずれ永久歯に生えかわるから、虫歯になってもかまわない」というのは大きな誤解。虫歯になると痛いばかりでなく、食べ方に変な癖ができる、穴が空いていると食べ物が食べられなくなる、噛み合わせに影響したり、永久歯の発達に悪影響を与えます。乳歯が虫歯になるということは、永久歯が虫歯になりやすい口腔内環境でもあるということです。

乳歯がはえたら定期検診を

虫歯以外で赤ちゃんに見られる歯の疾患としては、歯の萌出が早すぎる、遅すぎる、歯の数が多い、少ない、噛み合わせが悪いなどがあります。顎や全身の発育に影響を及ぼすことがあるため、矯正や専門家による治療が必要な場合も出てきます。「個人のケアでできることには限界があるので、異常を早期発見するためにも、乳歯が生えたらかかりつけ歯科医をもつようにして、3〜4か月に１回は定期検診を受けるようにしてほしい」と、北原先生は話します。定期検診の際、専門家によるフッ素塗布も有効です。フッ素は、歯の表面のエナメル質を強化し、歯の再石灰化を助けます。
また、歯の疾患以外にも、乳歯の打撲には要注意。打撲の衝撃が歯ぐきの中までに及ぶと、乳歯が早く抜けやすくなる、永久歯の萌出が遅れるという危険性があります。歯のない時期が長くなると、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼします。転ぶといったトラブルは子どもにはつきものですが、顔面から転んで歯を傷めてしまった場合は、早めに歯科に相談するようにするようにしましょう。

One Point Advice
北原先生のワンポイント・アドバイス
“赤・緑・黄・白「歯」育歯ブラシで正しくブラッシング！”

北原信也（きたはら・のぶや）先生（ノブデンタルオフィス院長）
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。