
常位胎盤早期剥離は繰り返すのでしょうか
5年前に常位胎盤早期剥離で36週で出産しました。そうなる直前まで何の異常もなく、医師からは原因についてまったく説明もあまりありませんでした。現在38歳、二人目を産みたいと考えるようになりましたが、とても不安です。
常位胎盤早期剥離は繰り返すのでしょうか。
年齢のことも考えて妊娠はあきらめた方がいいでしょうか。アドバイスをお願いいたします。

■アドバイス:
正常分娩では胎児が娩出されたあとに子宮収縮により胎盤が自然に剥離して胎盤の娩出が起こります。常位胎盤早期剥離とは正常の位置にある胎盤(前置胎盤ではない)が妊娠中または分娩中に、胎児の娩出よりも先に剥離するものです。発生頻度は程度が軽く無症状のものも含めれば、全分娩中に1〜2%と言われています。これはシビアな例では胎児仮死、胎児死亡、母体の子宮を摘出しなければならないとか、さらには母体死亡なども起こりうる重要な疾患です。
原因は不明としか言いようがありません。前ぶれとして妊娠中毒症が急速に発症、増悪することもあります。しかし、全く正常に経過されている妊婦さんに突然起こることもあります。事前の診察で全く異常が認められないことも多いため、発生を予測することはどのケースにとってもきわめて困難と言えます。
さらに次回の妊娠については、データとしては早期剥離の反復率は5〜16%程度と報告されていますので、前回の経過を踏まえて診察の間隔を短くして、頻回のチェックを受け、さらに充分な胎児のモニタリングを行っていきながら、異常の早期発見に努めるようにする必要があると思われます。
いずれにせよ、心配は尽きませんが、かといって必ずしも諦めるべきことではないとも思います。何より、担当のドクターや助産婦と十分コミュニケーションを取って確信は持てなくとも、できる限り心穏やかに妊娠中を送れるような環境をお選びになられたらと思います。
答えた人:吉原香織(助産婦)