妊娠初期
妊娠がわかった段階くらいから、つわりが始まります。つわりがまったくない、という幸せな人もいますが、これは働く母、主婦ともに、ある人、ない人がいるのは同じ。
典型的な、食べられずにゲーゲー吐くというつわりもあれば、ただ眠い、イライラする、感情的になる、あるいは、もともとあった持病のようなものが出てくることもあります。
つわりのときは、辛いもの。仕事はどうにか調整をつけて休めるものなら、休んだほうがいいのですが、この頃は、職場に妊娠を知らせていない人が多い。妊娠をさとられず、気を使うことで、よけい具合が悪くなってしまう人もいるでしょう。
つわりというのは、子どもができたということに対して、からだが反応していること。からだの治癒力が働き、吐くことで、自然に浄化しているとも言えます。ですから、素直に受け入れることが一番ですが、職場との兼ね合いやら、パートナーとの兼ね合いなどで、気持ち的にも落ち着かない時期でもあります。
この時点から、仕事と子どもの両立に先行きの不安を覚える人もいるかもしれません。まあ、つわりは、仕事をもっているいないにかかわらず、生理的な反応ですから、「自分のからだが赤ちゃんに反応しているんだ」と思って、あきらめる、あるいは反応そのものを楽しむほかありません。
つわりの時期は、人によって違います。ふつう4ケ月に入るとつわりは治まると言われていますが、これは気やすめのようなもの。長い人も、短い人もいます。
つわりのあいだは、食べられるものを、食べられるだけ、食べたいときに食べる。
この時期、栄養のことを考えて無理に食べる必要はありません。胎児はほんの小さな存在ですから、それほど栄養を必要とする時期ではありませんし、母親がもしやせてしまったとしても、問題はありません。
おなかがすくと気分が悪くなるという人は、職場にちょっとした食べ物を持参して、こっそり食べるといいかも(堂々と食べられればなお、けっこう)。
職場の理解を得るために、できるだけ、早めに妊娠を告げるほうが、あとあと楽ですが、人間関係その他、難しいこともあるでしょう。理解を示してくれる人が、ひとりでもいれば、頼りになります。
通勤も、満員電車がきつくなったら、時差出勤を。早めに出て、始発駅までいったん戻って座れる始発の電車に乗ったという人もいます。通勤途中で、気分が悪くなったら、しかたがありません、途中下車して、少し休む。遅刻も、やむおえない。
この時期ばかりではありませんが、仕事をもつ女性は、頑張り屋が多い。自分は仕事を今までと同じようにできると思っているのに、からだの具合が悪くなる。職場に迷惑がかかる。それを、自分のふがいなさのせいとか、わがままのせいにしてしまう人がいますが、気分がわるくなるのは、つわりのせいで、自分の責任ではありません。
「これが妊娠というものなのだ」と、ある種、あきらめも必要。
妊娠中期
やっとつわりが治まって、快適な妊娠生活を送れる5〜7ケ月。この時期は、自分が妊娠していることも忘れてしまうほど、からだは快調だし、まだそんなにおなかも大きくないから、妊娠を仕事先に知られることなく、バリバリ仕事がこなせる時期。
ましてや、おなかの胎児が動くようにもなって、「妊婦なんだあ〜」って、ひとりほくそ笑むこともある。
職場への報告は終わりましたか? やっとの思いで上司に告げ、みんな暖かい目でみてくれると思っていたのに、「それで、いつ仕事やめるの?」と、冷たい一言をもらった人も。ワーキング・マザーの先輩がいる職場なら、すでに前例がありますが、自分がその職場で初めてのケースだったりすると、まわりの人たちも扱い方にとまどってギクシャクする場合があります。
「男ばかりの職場。前例なし。でも、女性の総合職は私ひとりだから仕事は絶対やめる気はない」という薬品メーカー勤務の女性は、妊娠8ケ月まで飛行機で出張をこなしたといいます。その後、上司との話し合いを重ね、仕事を減らしてもらう手はずを整え、最終的にできるだけ在宅で仕事ができるようにもっていったとか。
妊娠7〜8ケ月頃から、おなかが張りやすい人がでてきます。これは、仕事を持つ妊婦にけっこういる。一日に一回張る程度なら、心配することもありませんが、5〜6回以上張るようでしたら、要注意。張りが繰り返されるということは、子宮が収縮して、お産の準備をしているということです。この時期に、お産の準備をされては、早産になる可能性があります。
おなかが張る場合には、横になるか、椅子に楽に座って、リラックスが必要です。このような場合も、「自分はもっと働けるのに」「以前はバリバリ残業もこなせたのに」「ナゼ?」と、あせりが出てきます。もっともなことです。つわりのように自分の調子が悪いというわけでもないのに、おなかだけが張る。仕事にさしつかえる。
これは、おなかの中の赤ちゃんが、母の仕事のリズムについていけずに、「もっとペースダウンしてくれ〜」と信号を送っているのです。「私の子なんだから、母の仕事に文句を言うな」「もっと、理解を示して」と思うかもしれませんが、いくら忙しく仕事をしても平気な子もいれば、仕事をしてない母であっても張る子は張ってくる。それは、その子の個性としかいいようがない。
あまり張るようなら、仕事を休んで安静にするしかありません。このときは、「今、一番自分にとって何が大切か。どうしたら、一番リスクを負わずにすむか」を考えて下さい。
早産で、早く生まれたら、危険な状態になる可能性もある。今は、かなりの未熟児でも、後遺症なく育つことは可能になってきましたが、それにしたってリスクは大きい。未熟児、あるいは1000g以下の超未熟児で生まれれば、長期間に渡って保育器に入っていなければなりません。その間、母のからだは回復しても、子どもの病院へ毎日通うことになります。とにかく、大変。心配、不安がふくらみます。
それを考えたら、今、仕事を1週間休んでも、ロスは少ないはず。おなかが張るのは、今の都市型の仕事のやり方やペースは、多くの胎児や子どもにとってやはりシンドイということを、教えてくれているんじゃないかと思います。それを受け入れてあげて下さい。
病院に行くと、張り止めの薬をくれるので、一時しのぎにはなりますが、基本的には安静が一番。ここは思いきって、休暇をとりましょう。
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