レントゲン撮影の胎児への影響
妻が、最近妊娠がわかったのですが、妊娠(受精)2週間後くらいに胸部レントゲン(恐らく肺)を撮ってしまいました。その後、子供の頭部レントゲンを撮ったときに付き添いで入室してしまいました。その場合の、胎児の影響やその他のことを教えてください!今、中絶かそのまま産むか非常に悩んでおります。宜しくお願い致します。
■アドバイス:
妊婦さんのレントゲン被爆に関するポイントは被爆した妊娠時期と胎児被爆線量の総計の2点です。つまり「いつどのようなX線検査をどれだけ受けたか」ということとなります。
◎被爆時期について
妊娠3週未満:胚の子宮内着床以前の放射線の影響は、大量の放射線被爆があると胚は死亡するが、被爆後死を免れて着床した胚では、子宮内死亡や出産あるいはその後にみられる奇形の誘発頻度が増加するという証拠はなく、正常に発生するものと考えられています。
妊娠3〜15週:この時期は胎児が催奇形因子に弱い時期であり、一般的にはこの時期に胎児が放射線被爆を受けた場合、胎児の奇形や発育障害を生じる可能性があるとされています。
◎被爆量について
診断的線量で胎児に奇形が誘発される可能性はまずないことがほとんどです。
すなわち前述の胎児の器官形成期に問題を起す可能性のある最低線量は5〜10レム(レム:放射線の単位)とされています。この線量はどの程度かと言うと、胚(胎児になる前)の被爆線量が5レムに達する撮影回数や透視時間でいえば、次のようになります。胸部撮影で25000枚、腹部撮影で300枚、腰椎撮影で150枚、胃透視で4時間などです。ですから、数回の撮影ではまず問題とはならないと考えられます。まして、上の子供さんのレントゲン撮影に付き添っていた程度では全く問題ありません。
しかし、服薬やレントゲン撮影などは、妊娠の可能性がある女性であれば、充分にご自身で考慮されることをお薦めします。
そして、詳しいことなどはかかりつけの産婦人科でご確認下さい。
答えた人:吉原香織(助産婦)