(掲載:2003年1月・プロフィールは掲載当時)
Interview-2 上山 仁子さん
週2回の在宅ワークで子どもとの時間を
ニューヨーク在住の上山仁子さんは、アメリカ人のご主人とのあいだにふたりのお子さんがいるワーキング・マザー。職業は、マンハッタンの会社へ勤めるグラフィック・デザイナーです。ほかにも、ニューヨークに関するエッセイ本を出版したり、新聞や雑誌に記事を書いたり、自らのウェッブサイトをつくるなど、忙しい毎日を送っています。
アメリカでは、日本の幼稚園にあたるキンダーガーテンに通うまで、子どものケアはナーサリースクールへ送り出すか、ベビーシッターが家まで来てみてもらうというのが一般的。
「ひとり目のときは、2人のベビーシッターに1日交替でみてもらっていました。子どもの昼食、夕食もつくってくれ、私の帰りが7時半になるので、夕飯を食べさせ、お風呂にも入れてくれます」
食事の世話を頼むので、離乳食などのことを考えて日本人の人を頼んでいるのだとか。現在は、週2回の在宅勤務になりベビーシッターはひとり。日本から上山さんのお母さんが渡米しているときには、2人の子の世話を頼んでいます。
「ベビーシッターを探すのは、やはり大変ですね。私は自分でみつけましたが、こちらではテレビなどで、ベビーシッターが子どもを虐待している報道などをよく見かけます。だから最初はとても神経質になりました。いくらプロとはいえ自宅で見てもらうわけですから、その人柄をよく理解してからお願いするようにしています」
ベビーシッターの費用は、家庭によって様々ですが、1時間10ドルと交通費というのが平均。経済的に余裕のあるときには、ボーナスを支給しているそうです。
ふたり目を出産後は、週2回の在宅勤務の希望を職場に提出。
「自宅のコンピューターで、オフィスのサーヴァーにアクセスできるようにしているので、職場から書類をもってくる必要はありませんし、子ども中心に時間をやりくりできます。やはり子どもが小さいときは、できるだけそばにいたいので」
アメリカの夫たちの育児や家事への参加率は、日本に比べて高いのでは?と上山さんは言います。彼女の夫も、日頃からおむつ替えやボトル授乳を手伝いますし、自分の食事もまめにつくるのだそう。休みの日は、洗濯、掃除も分担。
子育てには人生のキャリアも必要
上山さんがアメリカに来たのは27才のとき。それまでは東京で、グラフィック・デザイナーとして6年間勤務していました。ときはバブルがはじけたころ。離婚を経験し、キャリアを積むために、アメリカを目指したといいます。そのころは、子どもを産むことはまったく考えていなかったといいます。今のご主人と結婚して、3年目に子どもを出産。34才のときです。
「アメリカは日本以上にキャリア思考が強いので、高齢出産の人は大勢います。キャリアを積んで目的をもっているときは、なかなか子どものことは考えにくいですね。でも、あれもこれも終えてからと、スケジュール調整をしようと思っても、なかなか子どもを産むきっかけがつかめなくなってしまうご夫婦もいるようです。私自身は、結果的に34才での出産になりましたが、あるていど年齢を積んでからの子育てのほうが、経済的にも精神的にも親になるゆとりが生まれるように思います」
2002年の9月11日に発売されたエッセイ『I still love NY マンハッタン生活風景』には、ニューヨークでの上山さんのワーキングマザーぶりや、ふたり目の妊娠、出産を迎えるまでのエピソードがつづられています。
育児体験をつづった『アメリカーンな子育てはお好き?』というメールマガジンも発行中。
(掲載:2003年1月)