このように養子縁組よりも不妊治療を選好することは、不妊治療者の特別養子縁組を困難にする要因にもなっています。それは、申込者の「高齢化」です。生殖技術の利用の拡大によって申込者の高齢化が進んでいます。
前述した家庭養護促進協会のケースワーカーは「ここ20年の間に、年々申込者の高齢化が激しくなってきている。
不妊治療技術の発達は、子どもに恵まれない夫婦にとっては、治療に期待する期間をどんどんと長期化させている。(中略)最長で15年間、平均して5年から7年ぐらいは、治療に専念している」(岩崎 2001: 62)と述べていますがが、養子と養親の年齢の差は徐々に拡大しています。年齢差が40〜50歳以内の養親子の割合が増えていますが、これは、40代の養親が増加していることを意味しています(図4)。
ちなみに、2009年の人口統計資料集によれば2007年における日本の平均第一子出生年齢が28.86歳、平均第二子出生年齢が31.01歳ですから、一般の夫婦と比較するとかなりの高齢の夫婦が子どもと養子縁組をしているといえます。
このような養親の高齢化が、特別養子縁組を困難にするのは、子どもを養育するには高齢になりすぎてしまうということの他に、あっせんの現場で、子どもの養育に必要な体力を考慮して若い養親が選好されることがあるからです。特別養子制度に養親の年齢の上限に関する規定はありませんが、既述したように、あっせんの現場では、養子と養親の年齢差の上限を設けたり、若い養親が選好される場合もあります。
次に、養子の属性をみてみます。養子となる子どもの性別は男女50%ずつくらいとなっていて、男女差に偏りはありません(図5)。
養子の年齢をみてみると、0歳〜2歳までの割合が増加し、現在では特別養子の50%は縁組時に2歳以下であることがわかります(図6)。
図3 養親の子どもの有無
図4 養親と養子の年齢差
図5 養子の男女別割合
図6 養子の年齢