教えて!上田さん
街やオフィスの危険な電磁波
盗難防止装置、ETCや無線LAN。
新しくて便利なものがもつ新しいリスク。
前回は家の中にある電磁波のお話でしたが、今回は街や職場での電磁波に関するお話です。
街や職場にも家庭に負けないくらいの電磁波があふれているとのことですが、
最近ではどんなものが問題になっているのですか?
「新しいものでは、ETCが問題となっています。このノンストップ自動料金収受システムを通るだけで、電磁波を浴びることになります。携帯電話ほどではないですが、それより若干弱いくらいの電磁波が出ています。路上でときどき見かける、スピード違反をチェックする“スピードガン”も同じく注意が必要です。」
・・・これからどんどん導入されてゆきそうな気配があるだけに、何だか心配ですね……。
「あと、最近わかったなかで衝撃的だったのは、盗難防止装置です。これが、非常に高い電磁波を発生させていることがわかりました。」
図書館や書店でみかけるあのゲートのようなものですね?
「そうです。まさしく、図書館の職員のなかから頭痛やめまい、耳が聞こえなくなるなどの健康不良が訴えられるようになって、問題が明るみになったのです。私たちが計測してみると、ゲート内では800ミリガウスという危険ともいえる数値が出ました。」
・・・4ミリガウスで白血病のリスクがあがると言われていることを考えると、
それは桁違いに高い数値ですね!
「図書館や書店ではゲートのそばにカウンターがあることが多いですから、毎日そばで働く人にとっては大問題と言えます。あと、やはり図書館で、毎日コピーをとるような職についている人は二重にリスクを追っていると考えられますね。コピー機は常に電源が入っているという点で要注意ですから。」
・・・それは一般のオフィスでも言えますね。
デスクの隣にコピー機、という配置はつくらないようにしたいものです。
「その通り。あと、オフィスで気をつけたいものとしては、最近増えつつある無線LAN。インターネットを無線でつなぐ便利なものですが、比較的強い電磁波を発生させています。インターネットの接続サービスをしているカフェや、家庭などでも見かけるようになりましたが、それなりのリスクがあることを忘れずに。」
見えるところだけじゃない。
地下からも電磁波が発生している!?
冒頭でも話題にのぼりましたが、高圧送電線の下に住む子供たちは白血病にかかるリスクが高い、というニュースはとても衝撃的でした。…
「そう、子供をもつ親ならだれもが聞き逃せない研究結果ですね。世界でも日本でも疫学的な研究が行われていて、それを裏付けるデータが出ています。しかし高圧線以外でも、同レベルの電磁波もしくはそれ以上を出しているものは街中にたくさんあるんです」
具体的にはどんなものがあるのでしょうか?
「一番身近なのは電信柱の上にある“トランス”と呼ばれるものでしょう。電柱の上に、黒いボックスのようなものを見かけますよね。あの電気の変圧器です。あれが近くにある家や施設などは、高圧線下と変わらないくらいの環境であると考えていいと思います。」
ちょうど民家の2階くらいの高さにあることが多いですね。そのすぐ横に子供部屋があったりするのはよくないと…
「そういうことです。超低周波磁界は壁なんかも簡単に通り抜けてしまいますから。また、こういった配電設備は地下にあることもあります。地下の送電線や配電線、地下の変電所というものですが、 日本は地面の水分が多いので腐食した場合の修理のこともあって、他国よりも比較的浅いところにあるんです。それに困ったことに、地下変電所などは幼稚園や小学校など小さな子どもがいるところに埋められているケースが少なくないんです。」
それはあまり知られていないと思いますが! どうしてなのでしょうか?
「幼稚園や小学校などが電力会社に地下の土地を貸していることがあるんです。」
・・・まだまだ日本では電磁波に関して無関心であることがよくわかりますね……。
街の電磁波は、街ぐるみで阻止しよう。
私たちは知らないうちに電磁波に被曝していることがとても多いのですね。
「その通りです。自分たち家族、特に小さな子どもたちのいる環境の近くにこういった変電所がないかどうか、気付かないうちにそうした施設が作られようとしていないかどうか、常に気をつけておく必要があります。」
・・・それは個人では難しいことのように思えますが。
「街の中にある電磁波に対する対策としては、個人の力では限界があります。大きな施設を移動させるためには、やはりその地域に住む人たちが皆で問題を認識し力を合わせることが大切です。最近では、携帯タワーの建設を、地域住民が団結して訴訟を起こすことで阻止している例が出てきています。エリアの住民が常に目を光らせ、必要とあれば抗議する。これが一番の対策法となるのです。」