(文:小野田レイ・掲載:2014年6月)
●●● 食べたり食べなかったりムラ食いがあるのは?
赤ちゃんもその時の気分や季節によって、大人と同じように食欲旺盛の時とそうではないときがあります。病気の時や梅雨、夏の蒸し暑い時期は食欲がなく、食べない赤ちゃんもいるでしょう。
また、赤ちゃんの体質でもともと食が細い子もいます。そんな赤ちゃんのお母さんに「あなたやご主人も小さい頃、食が細く標準以下の体型ではありませんでしたか?」と聞くとほとんどのお母さんはうなずきます。「赤ちゃんはあなたに似たのかもしれませんね」そんなアドバイスをするだけで、お母さんは安心して前に進めます。人と比べないで、そのうち食べるようになるまで赤ちゃんを見守ってあげることが大切です。
離乳食は文字通り離乳のためのステップアップで、食事の練習をする時期です。食事をするようになったからといって母乳をやめる必要はありません。むしろ病気などで食欲が無くなったときは母乳や育児用ミルク栄養が役に立ちます。母子健康手帳にも「離乳完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物からとれるようになった状態をいう。その時期は通常生後13か月を中心とした12〜15か月ごろで遅くとも18か月までに完了する」と明記してあります。また、2002年にWHO世界保健総会で「6か月の完全母乳の推進と2年以上の母乳育児の継続」が採択されました。つまり、離乳食は1.5歳〜2歳までに完了すればよいですので、食べないことに焦る必要はありません。何かのきっかけでコンスタントにたくさん食べるようになると、自然と母乳や育児用ミルクを飲む回数・量が減ってきます。
「せっかく作ったのに!」という気持ちが伝わって
おそらく、この「せっかく作ったのに!」というお母さんの気持ちが赤ちゃんに伝わっているのだと思います。恐い顔をして赤ちゃんにスプーンであげていませんか? 食べないとどうしてもイラついてしまい、無理やり口の中に入れたり、そんなつもりではなくてもお母さんが必死の顔をしていると赤ちゃんは食べません。
楽しそうに手づかみ食べする子
(1歳2か月)
食事は楽しくするものです。親子でおしゃべりしながらリラックスすることをお勧めします。また「食べさせる」という概念を捨ててください。第2回でお話ししましたように、赤ちゃんが自分で食べるというシチュエーションを作り、お粥ではなく、やわらかく煮た根菜やご飯を手づかみ食べして、お母さんと一緒に楽しく食事してください。
また、1日の運動量が少なく食欲がわかない可能性もあります。赤ちゃんとお散歩に行ったり、児童館や公園に行って他の赤ちゃんと触れ合うことで運動量が増えます。さらに、どうしてお母さんが「せっかく作ったのに!」という気持ちになるのか、私なりに分析してみました。赤ちゃん専用にわざわざ離乳食を作っていませんか? お粥やすりおろした野菜は生後6か月過ぎていれば必要ありません。軟らか目に炊いたご飯や、煮物を煮て薄味をつければよいので、あらためて赤ちゃん専用に作る必要はありません。大人も子どもも同じ煮物を食べればよいのです。また、多めに作って小分けしてラップに包み、冷凍保存(保存期間は約1ヶ月)すると、より手間が省けます。少しでも家事を減らし、赤ちゃんと向き合う時間を増やすと育児がより楽しくなります。
Point レッスン5のポイント
1.極端に塩分控えめにした調理は美味しくありません。
2.赤ちゃんも気分によっては食べないこともあります。
3.人と比べず、見守りましょう。
4.母乳または育児用ミルクは継続しましょう。
5.食事は楽しく、手づかみ食べで。
きほんのレシピ帳
ビシソワーズ風スープ
ニューヨーク生まれのジャガイモのスープ、温めてどうぞ。