うつ伏せ寝とSIDSについて-1
寝かせ方について一つ心配事なのですが、なるべく仰向けか横向でで寝せようと思うのですが、眠りかたが浅くすぐ起きてぐずってしまいます。試しにうつぶせにしたところぐっすり眠りました。
以前うつぶせはよくないと聞いていたのでなるべくならしたくないのですが、よく寝るのでついしてしまいます。うつぶせの危険性やうつぶせに寝せるときの注意点についてアドバイスいただければさいわいです。

当科で最近8年間に出生した赤ちゃんのうち,4人の子がSIDSで亡くなりました.
そのうちの3人はうつ伏せ寝で見つかっており,1人は状況不明です.どっちにしても,うつ伏せ寝はSIDSの重要なリスク因子の一つです.仰向け寝で育てましょう!
飯田市立病院産婦人科のホームページ
http://www.imh.iida.nagano.jp/user/kakuka/gyne/obs_gyn_top.html
のワンポイント医学講座(産婦人科編)の中の
「乳幼児突然死症候群について」をご参照ください.
以下その要約です.
それまで元気で,ミルクの飲みもよく,すくすく育っていた赤ちゃんが,眠っている間に突然死亡してしまう.これが乳幼児突然死症候群(SIDS)という病気です.事故や窒息死とは違います.
日本では出生した赤ちゃんの約2000人の内1人がSIDSで亡くなっており,年間500〜600人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっています.日本の乳児の死亡原因の第2位となっています.欧米では死亡原因の第1位です.特にかわいい盛りの4〜6ケ月の赤ちゃんがこの病気の最大の犠牲者で,ほとんどが1歳未満の赤ちゃんに起きています.
SIDSの原因はまだ解明されていませんが,私達が赤ちゃんの育児環境に気を付けることによって,SIDSを減らすことが出来るいくつかの因子があることが分かってきました.
多くの国で「うつ伏せ寝を止めること,赤ちゃんを暖めすぎないこと,母乳にすること,お母さんが禁煙すること」を中心としたキャンペーンが行われ,SIDSの発生率が実際に減少しています.うつ伏せ寝が大幅に減り仰向け寝が増えたことで、特に問題が起こったことは報告されていません.
日本におけるSIDSについての厚生省研究報告書では,うつ伏せ寝は一般には14%に過ぎなかったのに,SIDSで発見された赤ちゃんの79%がうつ伏せ寝でした.これらのことから日本においても,リスク因子を少なくすることによってSIDSの発生頻度をもっと少なくすることが出来ると考えられます.
( 答えた人:山崎輝行先生/飯田市立病院産婦人科/BC Message Boardより'97/12)