ぞうのみずあそび
いとうひろし/作 絵本館 ¥1,188-
「またびちゃびちゃで、ごめんね」
と言う割には、毎日水あそびの夏休み。
遊びにはそれぞれの好き好きがあるけれど、
水あそびの時だけは、庭から全員参加の嬉しそうな悲鳴が聞こえる。
そんなに好きならプールは? 近くの川は? と提案してみても、
すぐにホースからジャンプする水。そして時にはちいさな虹を見せてくれる
庭での遊びも、子どもたちは好きらしい。
それにしても、この絵本に出てくる動物達のキャラクターは、
庭に集う子どもたちの世界、そのものである。
「みずあそびしないかい?」と遊びに導く、ぞう。
「行きたくねえよおー?ぐだぐたしている、しまうま。
「きみがみんなを連れてってくれるんなら、行ってもいいよ」と、さる。
がんばって、背中にみんなを乗せて行ってしまう、ぞう。
やっと池に入ったと思えば、
「きみのみずあそびはおおつなみだよ」と、ぞうを岸に押し上げるライオン。
怒ったぞうは、池の水を“うんご、うんご”と飲み干して、
ザバザバザバザバ!!!
小さないざこざは絶えないけれど、水をかけられてみんなで大笑い・・・・
とでもいうようなアクシデントが、まーるく収めてしまうこともよくあるわけで。
庭にはいつしか、子どもたちがスコップで掘った池。
葉っぱにバッタを乗せて浮かべる子。
池のまわりに石を並べる子。
わざとらしく、落ちてみせる子。
いつしか暑さを忘れるほどに、
子どもたちの遊びは、別の遊びにつながっていく。
家の中では、この絵本で涼しさを感じよう。
ぞうの鼻から、ザバザバザバザバ・・・。
ぞうの優しさだけは、心にあったかいものを残すけど。
(文;森 ひろえ)