すっぽんぽんのすけ
もとしたいづみ/作 荒井良二/絵 すずき出版 ¥1,188−
時々お世話になる保育園の先生が、息子の様子についてこう言った。
「どうも自分でパンツをはこうとか、服を着ようっていう意欲がないみたい。」
やっぱり。
赤ちゃんの時から、裸にするとニコニコ笑い、オムツ、肌着、洋服・・・と着せるごとに顔つきが悪くなるような子だったから、裸で、自分の意思で走り回れるというのは、やたら嬉しいに違いない。
「早くパンツをはきなさ−い」とおかあさんは いうけれど、
おふろあがりは はだかが いちばん
「こらまて。まちなさ−い」
「や−だよ」
庭の外に出た男の子の頭には、なぜかちょんまげがはえ・・・。
そして、さらわれた子猫のみいちゃんを助けるため、にんじゃたちとのたたかいが始ま
る。
話はもちろん、文章と絵の表情のうまさに、読む人が芝居がからずにいられない。
もう一人の自分に会いたい人は、ぜひどうぞ。
風呂上がり、「しゅっぽんぽんのしゅけだ」
と裸ではしゃぐ息子は、今日も変わらず。
早く自分から服を着るようになってほしいと思う反面、
そのままの姿で、すっぽんぽんのすけの「あのポ−ズ」をさせてみたいという、
ふたつの願いの間で揺れる・・・母心なのです。
(文;森 ひろえ)