OUR SNOWMAN ふたりのゆきだるま
M・B・ゴブスタイン作 谷川俊太郎訳 すえもりブックス
冬、朝ごはんを食べ終わると、母が私にもこもこになるまで服を着せ、
兄のお下がりのブカブカ長靴をはいて外に出る。
真っ白な雪に、自分だけの足あと。
そして、雪といえば雪だるま。
家の中にいても、外にいる・・・
あの存在感は何だったんだろう。
大雪の日は、あっという間に、ただの三角の山になってしまう雪だるまを、
あの頃はあきもせず、いくつもいくつも作り続けた。
雪玉はどんどん分厚い雪を
まわりにくっつけて行くので
ふたりともびっくりした。
昔から、こういうことはうまくいく!
雪だるまを作った姉と弟。
でも晩ご飯の間中、悲しむ姉の様子を見ていたお父さんが、
いきなり暖かいものを着込み、お母さんがポ−チの明かりをつけてくれる。
姉とお父さんが作ったのは、ごみや落ち葉だらけの雪だるま夫人。
いつもは線画の作者の、珍しいパステル画。
やわらかい色あいからも、不思議と雪のかたさや冷たさも伝わってくる。
でも一番伝わるのは、独りぼっちの雪だるまを想う子どもの心。
そして、それに気がついて行動するお父さんの心だ。
(文;森 ひろえ)