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セレスティーヌ(アーネストとの出会い)
くまのアーネストは、ある日道端のゴミ箱の中に、まだ目も開けられない程小さなネズミの 赤ん坊を見つける。アーネストの片手にも余るほどの、小さな頼りない生きもの。 アーネストは家に連れて帰り、世話を始めるんだけど、言葉のないページ毎の絵から、 愛するものを想う気持ちがあふれでてくる。 (やがて目を開くセレスティーヌの可愛らしさったら!!)

出産して、久しぶりにこの本を開いた時、心配する近所の人たちとの気持ちの行き違いや、 かたくなに一人で子どもを育てようとするアーネストの姿は、私には新生児にかかりっきりの 母親(自分)を思わせた。 和解、病気、孤独、そして再び訪れた2人だけの時間。

私はこの本を、親しいい人の結婚祝いに何度もプレゼントした。 愛する人に出会えた奇跡を、いつでもこの本を見て思い出せるように。
生きていれば、いろんなことがある。出会いのときめきも、抱きしめあって愛するひと のむくもりを感じる時の幸せも、会えない時の苦悩も。
子どもを怒鳴ってしまった時、手をあげてしまった時、親として懐の狭さを感じてしまう時、 自分を見つめるのに一番効くのは、パートナーの理解。 そして、子どもが生まれた瞬間…子育てのスタートラインに還ることだ。 何かをきっかけに、心がその時代の還ることができるのは幸せだ。 それは、一通の手紙だったり、一枚の写真だったり、書き留めていた誰かの言葉だったり、 一冊の本だったりするんだけど。
私はずっと前にこの本に出会ってから、いつか出会うかもしれないパートナーや子どものことを 思い描いていた。だけど当時一人暮らしを楽しんでいた私には、こんなふうに誰かと寄り添って生 きていく幸せなんて、はるか遠い霧の彼方にあるように思えた。 そして今、私もアーネストのように、手のひらの中に愛おしいものの命を抱きしめている。

作者は日本の水墨画に学んだという。 デッサンで描かれたこの絵から伝わるもの、ひとつひとつを、じっくりと感じてほしい。 「セレスティーヌ」は、アーネストとの、はじまりの物語。 2人(匹)のキュート&ハッピーな物語は、16のシリーズで続く。

(文;森 ひろえ)

セレスティーヌ(アーネストとの出会い)


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