ピッツァぼうや
ウィリアム・スタイグ/作 木坂涼/訳 セーラー出版 ¥1,620-
朝、息子と一緒に夫を起こす時は、いつも夫のお腹の肉でパン屋さんごっこをする。
2人で「こねてこねて−ちぎって丸めて−巻いて巻いて−・・・」
どんなにくすぐったくても、夫はパン生地の役なので、笑ってはいけない。
でも、できたてのパンを顔の上に置く作業にかかると、さすがに我慢の限界。
そして3人でケラケラ笑いながら、「おはよう」を言い合う。
私の一番好きな絵本作家の新刊を、ワクワクして読んでみると、
そこには我が家と通じる世界があったのだ。
この本は、まさにその子ども版ではないか。
雨が降って外で遊べず、がっかりしているピ−トぼうや。
おとうさんは、彼をテ−ブルの上に乗せてこねはじめる。
ひっぱって、のばして、そして生地の空中飛ばし
ピッツァのトッピングで夫婦がもめたり、くすぐられた生地が笑い出したり。
ソファのオ−ブンで焼いて、あつあつのピッツァぼうやはご満悦。
いつのまにか、お日さまが顔を出した外へ、ピッツァぼうやは遊びにでかけていく。
にわか雨のわずかな時間に、親子でこんな楽しい遊びができたら、
そりゃあ上機嫌に決まっているよ。
(文;森 ひろえ)