おさるになるひ
いとうひろし/作 講談社 ¥1,188-
ぼくは、みなみのしまにすむおさる。
時々、幸せそうに大きなおなかをさするお母さんを見て、おさるはちょっと複雑な心境だ。
今度生まれてくるのが、ヘビだったらいいのに・・・カメだったらいいのに・・・
なんて考えちゃって。
そんな時、お母さんがバナナを食べながら、おさるが生まれた時のこと、
おさるが小さかった頃の思い出を、
カラーページでお話してくれる。
(そこだけカラーなの)
そこでおさるは感じるんだ。
ぼくにも小さい赤ちゃんだった頃があったんだ。そして、とっても愛されて育ったんだってことを。
「わすれちゃったこともあるわよ」
と言うお母さんの笑顔。
「この子の赤ちゃんの時のこと、しっかり覚えておいてあげてね」そして生まれてきたのは、ちいさなちいさな・・・やっぱりおさるの妹だったんだ。
「妹や弟ばかり可愛がって・・・」と悲しむ子どもの特効薬は、自分が愛されているということの再確認。
それから・・・やっぱりお母さんの笑顔だ。
(文;森 ひろえ)