おなかのすくさんぽ
かたやまけん/作 福音館書店 ¥864-
生き物はみんなさんぽをする。
空も、地面の上も、水の中も。
山道ジャングルを探検している時、しゃがんで子どもの背の高さになってみて驚いた。
頭の上まで伸びる草。その向こうを指差して息子が言う。
「この中にみんないるのかなあ。かえるもくまも。
くまさんがペロぺロッてしたら、ちょっとコワイんだけど」
たじろぐ息子の手をひいて、草をかき分け進んで行くと、不思議不思議。
私の手をふりはらい、どんどんどんどん、吠えながら行く息子。
追い掛ける私を、木の枝がからかいながら、さえぎろうとする。
真っ白いシャツを着て歩いてた男の子が、動物たちと散歩。
みんなでいろんな遊びに熱中する。
泥だんご。 歌いながらの洞くつ探検。
くまさんが掘ってくれた穴に抱かれたり。
ごろごろ転がって、川に入り、
もう真っ黒けの、びっちゃびちゃ。
川で遊んでる時、くまがこんなことを言い出した。
「なんだかきみは おいしそうだねえ。
ちょっとだけなめていーい?」
夜、布団の上でゴロゴロ遊び疲れ、男の子とくまの会話で遊んでみた。
「ほんとうに、なめるだけだよ」と答えながら、緊張した顔の息子。
「ちょっとだけ かんでみてもいーい?」
「ほんとうに、ちょっとだけだよ」
絵本を持って来て読んでみると、ページのあちこちにいるたくさんの虫や動物たち。
その表情を楽しみ、虫の話をしているだけで時間はすぎ、気付けば2人でうとうと。
冒険した日は、たくさんおなかがすいて、よく眠る。
(文;森 ひろえ)