おふろだいすき
マリサビーナ・ルッソ/作 青木久子/訳 徳間書店 ¥1,404-
いっしょにお風呂に入るなら、
オーソドックスなあひるやカエルのおもちゃがいい。
いかにも、小さな水場にいそうなアヒルやカエル。
きょうのできごとを、ちゃーんと聞いてくれそうな顔をして。
ぼくは、あひるのプッカを連れてお風呂に入る。
まずは一人で体を洗ってと・・・
お湯にもぐって遊んでいたプッカが、何か見つけたみたい。
すると、“ザザーッボカッ”と、大きなカメが。
お風呂の底からは次々に海の生きものが現れて、
ぼくは、みんなの話を聞いたり、
かばの大きな体を洗ったりして大忙し。
「さあ、みんなお湯に入って」
そこでいつも息子と私は大笑いだ。
「そんなアホな〜」と、今の息子なら突っ込むけれど。
4歳になったばかりの、ある日のこと。
息子は恐々と、それでも何かに出会いたくて、
とうとう一人でお風呂に入れるようになったのだ。
何やら、お風呂でぶつぶつ独り言。
私がお風呂のドアをそーっと開けると、
「あーあ、今くじらがシャワーしてたのに、
お母さんが来たから、もぐって逃げちゃったよ。」
「・・・あ、ゴメンゴメン。私は会えないのかな。
私もお風呂のクジラに会いたいんだけど。」
「うーん、大人はな。」
・・・ダメですか。やっぱり。
(文;森 ひろえ)