のびのびのーん
川上隆子/作 アリス館 ¥1,296-
「だっこして」
ちょっと淋しい時は、こう言ってすぐに甘え出すし、
「ほら見てて、ちゃんと見てて、こっち見てよ」
忙しく家事をしている時に限ってこう言ってくるんだよね。
どんなに言い聞かせてもぐずる子どもを、
家事を投げ出して、少し外に出すと、
たちまち顔が「のびのびのーん」になる。
さっきと別人のようにはしゃぐ子どもを見て、
ひとつ気付いたことがある。
まるで布団とおんなじだ。
適度に日に当ててあげないと、笑顔が湿ってしまうんだ。
お日さまが照らすあたたかい季節。
その中では、花も虫も動物たちも、光につつまれている。
思わず笑いがこぼれそうになる、しあわせいっぱいの表情を
したものたちの顔を見てほしい。
ぐずる子どもは窓辺へ。ベランダへ。そして外へ。
もちろん大人も一緒に。
ぽっかぽかの陽気の中、からだのネジがゆるんでくる。
(文;森 ひろえ)