きょだいな きょだいな
長谷川摂子/作 降矢なな/絵 福音館書店 ¥972-
「これ、なんだろうね?」
と、表紙にまず子どもはひきつけられる。
きょだいなピアノの足もとで、「なんだろう」と首をかしげる狐の子。
この子は、絵本の中、あちこちで、「きょだいな」何かに感嘆し、100人の子どもたちと一緒に「きょだいな」何かを楽しむんだ。
わらべうたのように、うたいながら読んでみよう。
「あったとさ あったとさ
ひろい のっぱら どまんなか
きょだいな ピアノが あったとさ」
きょだいなピアノを見上げる狐の子。
子どもはいつもそれを指さし、「あっここにいた」と、笑うんだ。
「こどもが 100にん やってきて
ピアノのうえで おにごっこ
キラリラ グワーン コキーン ゴガーン」
広い野原に次々に現れる「きょだいな」何か。
100にんのこどもたちと狐の子は、せっけんやまですべりっこ。
ごろごろ転がるトイレットペーパーでおしりをふいて、ガラスのびんの中で眠り、泡立て器で雲をかきまぜる。
この子たちは、この不思議な世界に、どこから来てどこへ帰るんだろう・・・。
そう思った頃、きょだいなせんぷうきに吹き飛ばされた子どもたちが「ストン!」と飛び込むのは、なつかしく、大好きな人の、(きょだいな?)腕の中なのだ。
(文;森 ひろえ)