いつもだれかが・・・
ユッタ・バウアー/作・絵 上田真而子/訳 徳間書店 ¥1,836-
時々、目には見えないものに、守られてるような気がすることがある。
頭痛がする時、急がなければいけない時に限って、
私の運転する前をトロトロ40キロ位で走りつづける軽トラの存在・・・とか。
やっと右折して、これでスピードが出せると思ったら、また左から軽トラが。
・・・何これ。
初めて夜の高速を運転した時は、
前を走る白い自動車が、80キロでトロトロ。
追い越して前に行くと、また私を追い越して前をトロトロ。
高速を降りる頃にはどこかへ行っていた。
「ねえ、今、急いではいけないよ」
そう、私に言ってたのは、誰だったんだろう。
「わしは幸せだった。何をしても、うまくいったんだぞ・・・」
病院のベッドの上のおじいちゃんは、孫に語りかける。
子どもの頃から、おじいちゃんの近くには、いつも背中に羽のある天使の存在が。
事故に遭いそうな時も、辛い出来事の中にいても、いつもそっと手を差しのべ、
おじいちゃんを見守り、支えてくれた天使。
幸せな家庭を築いたおじいちゃんの傍らで微笑む天使も
海で孫と遊ぶおじいちゃんの近くで、サメの口を押さえている天使も、
その姿は、見えないのだけど。
「いろんなことがあったけど、まあ、運がよかったかな・・・」
おじいちゃんは、自分の人生を振り返り、
疲れたのか、そっと目を閉じる・・・。
きっと誰の心の中にもある、
見えないものの存在を信じる気持ち。信じたい気持ち。
今、近くにいるかもしれない天使を、ちょっと感じてみたくなる。
(文;森 ひろえ)