おとうとなんかイヌならな!
キャロル・ディゴリー文 ポール・マイゼル絵 久山太市 訳 評論社 ¥1,404-
積み木に線路・・・お兄ちゃんが積み上げて作った芸術おもちゃ作品。
そこへ現れた赤ちゃんカイジュウ。
ああっ 来るなっ 来るんじゃな−い・・・・ドッカ−ン!
アニキはつらい。そのことに私は最近気がついた。
コカイジュウが口に入れそうな物は、サッと片付けられてしまう。
ケンカをすれば叱られる。
コカイジュウが生まれるまでは、まわりの人の愛を一身に受けてたんだけど、
そんなこと自分は覚えちゃいない。
(私の兄は30歳過ぎても、妹ばっかり可愛がりやがってと 親に言ったらしい)
近所に住む4歳のリョウタ。いつも 母親のひざの上は、小さな弟に占領されている。
私の息子がリョウタの 家で遊んだ帰り、よくこう言うんだ。
「ぼくは赤ちゃんいらない。線路こわすし、おもちゃ取りにくるから」
まだ一人っ子の息子にも嫌な予感をさせる位、お兄ちゃんはツライ・・・だから、
4歳 にしては クールな リョウタも、きっと心の中はそうなんだろうと思っていた。
アトピーがかゆくて、なかなか 眠れない弟。
ママが寝不足ってことも、パパが疲れて起きられないってことも、全部知っていて、
心の中にしまいこんでいるんじゃないかと。
ある日の明け方、リョウタのママは、泣いている弟の背中をポンポンと
優しくたたいてるリョウタを見て、胸がジーンとしたんだって。
子どもは驚くほど、まわりの人の存在を、あるがまま 受け入れている。
「オマエなんかイヌならよかったんだ」って
もし上の子が 言ったとしても、あまり叱らずにいてほしい。
そう思うのが当然だし、そんな感情を外に出せるだけ幸せかもしれない。
どんなに悪態ついても、2人とも同じように愛した子なら、
悪い子には育たないよ。ね。
(文;森 ひろえ)