ひゅるひゅる
せなけいこ/作 童心社 ¥1,080-
「せっしゃはつりがだいすきでござる」
初めのページだけで、ゲラゲラ笑う子がいたのを思い
出す。
腰に刀をさした侍さんが、やたら短い釣竿を持
って池で釣りをしているんだけど。
絵がおかしいのかと思ったら、どうも
「・・・でござる」の言い回しらしい。
馬にいたずらした子どものかっぱを捕まえて家に戻る
と、その晩かっぱの親が
「こどもをかえしてください」とやってくる。
かっぱは、こどもを返してもらったお礼に、吹けば魚
がよってくる笛をくれた。
それを聞いた別のおじさんも、池で無理にかっぱの子
を捕らえ、「ふえをくれなきゃ かっぱじるにして
くっちゃうぞ!」・・もらった笛は、さかなではなく、
おばけの集まる笛でござった。
子どもの世界には、怖いものや、不思議なものの存在
が必要だ。
せなけいこのおばけえほんは、全部で12册。どれも
大人が読めば笑ってしまうようなお話。でも子どもは
読めば怖くて「もう見ない」・・・とは言っても、
どうしてもまた手にとってしまうらしい。
おばけや鬼の話といえば、どうも教訓的なものを感じ
てしまうものもあるんだけど、このシリーズは、
ただ怖くて、ただおもしろいだけ。
大人は「えっ これで終わりなの?」と感じてしまっ
ても、子どもはこれで満足なのでござる。
(文;森 ひろえ)