はるにうまれるこども
にしむらかえ/作 絵本館 ¥1,296-
ある日、私が「ロビンソン・クルーソー」を読んでいると、隣りの部屋で遊んでいた息子が言った。
「ねえ、世界には誰も行ったことのない島ってあるの?」
ある日、私が「アボリジニ」に関する本を読んでいると、息子が急に布団にくるまり、
「ここは秘密の洞窟だよ。日本じゃない遠い国の。」
世界の子どもたちの暮らしぶりを本で見てから、息子は時々、アフリカの動物や、アジアの子どもたちや、地球環境のことを考える心の旅をするようになった。
この絵本はひとつの物語になっているわけではなく、開けばバラバラの絵と言葉のようだけれど、ひとつの絵に、ひとつの物語がある。
自分のこと。家族のこと。世界のどこかで起こっていること。
どこの国でも、人が感じる小さな幸せって、似たようなものなのかもしれない。
子育て中は、なかなか自由に外出できないこともあるけれど、世界を感じる心の目を持てば、きっと心だけは、どこへでも行くことができるんだ。
(文;森 ひろえ)