ぎょうれつぎょうれつ
マリサビーナ・ルッソ/作 青木久子/訳 徳間書店 ¥1,404-
「おひるごはんよ。いらっしゃい」とキッチンから呼ぶおかあさんに、
サムは「ちょっとまって」と答えてから、積み木を並べ始める。
おもちゃのぎょうれつは、部屋から廊下へ。
本のぎょうれつ。靴のぎょうれつ。
遊びの楽しさを知り始めた子どもは、
途中でやめさせられるほど、つらいことはない。
サムを呼ぶ声はだんだん大きくなるんだけど、
このおかあさんは、子どもの今の状況を予測しながら、待っててやれるんだ。
もし、おかあさんがキッチンから飛び出してきて、
「食べる時間なんだからやめなさい」なんて言ったら、
子どもは、こんな楽しい遊びを見つけられなくなるかもしれない。
おかあさんは、部屋からキッチンまで届いた「ぎょうれつ」を見て、
「ほんと、すごいわね。」とサムを抱き上げ、「でも こんどおかあさんがよんだら すぐくるのよ」と言うのだ。
おかあさんを見つめるサムの誇らしげな顔。
大好きな人に「すごいね」と認められるたびに、
子どもの表情は輝きを増していくね。
(文;森 ひろえ)