ふくろうくん
アーノルド・ローベル/作 三木卓/訳 文化出版局 ¥922−
夜、ベッドに入ったふくろうくんは、
毛布の下で動く、ふたつのこんもりしたものが気になってしまう。
右足を上げたり下げたりすれば、右のこんもりくんが上がったり下がったり。
左足を上げたり下げたりすれば、左のこんもりくんが上がったり下がったり。
「こんやは ねられたものじゃない」と、ふくろうくんはおおあばれ。とうとうベッドを飛び出して、椅子に座って寝ましたとさ、という「こんもりおやま」というお話がある。
この本を、私が本気で楽しみ出したのは、あの瞬間からだ。
夜、布団に座った当時1才の息子が、毛布をかけた自分の足を指さして、「お−いお−い」と泣き出した。
「ああ、これ、こんもりくんっていうんですよ。ほら、動いてるでしょ」息子は、動くこんもりくんを見て、更に泣きつづけた。「寝ればこんもりくんは見えません」
と横にされ、おっぱいを飲んで落ち着いたけど、やっと寝ついた息子の顔が、ふくろうくんとダブッて見えて、どうにも笑いが止まらなかった。
ほんとに、絵本と同じことがおこるなんて。
あばれんぼうの冬が家を訪ねてくる・・・・「おきゃくさま」悲しいことを考えて涙をためて・・・・「なみだのおちゃ」ぼくが2階にいるとき、ぼくは1階にいない・・・「うえとした」ねえ、そんなについてこなくても・・・・「おつきさま」どうにもおかしくて、哲学っぽくて、
子どもの心に近づける、5つのお話。
(文;森 ひろえ)