ばいばい
まついのりこ/作 偕成社 ¥648-
シリーズは1〜3集まで。全部3冊セット。
1 身近な音、水のじゃあじゃあ、紙のびりびりなどを楽しむ
「じゃあじゃあびりびり」¥630-
2 虫や動物との一日の流れを楽しむ「みんなでね」¥648-
3 簡単な繰り返しを楽しむ「ばいばい」¥648-
はじめにヒヨコが「こんにちは」。
次のページは「ばいばい」。次にゾウが「こんにちは」。また「ばいばい」のくりかえし。寝る前に何度も読むうちに、私たちはこの本で、その日をふりかえるようになった。
ヒヨコはいつも息子に、「今日はどこに行ったの?」とたずねる。
まだ答えられない時期は、私が「今日は川まで自転車で行ったよ〜」なんて答えていたが、今では「あのね!あのね!」とあったこともなかったことも、やたらめったらしゃべりまくって、なかなかこれが終わらない。
ゾウは、「元気〜?よかったよかったあ、そんならいいやあ」と、いつもそれだけ。ウサギは、「今日は誰と遊んだ?何して遊んだ?」。キリンは食事担当だ。急に上品なおばあさんの声色になり、「あ〜ら、おにぎり3個も食べたの〜!大きくなるわねえ!もしかして、アタシより大きくなるつもり?」なんて言われると、息子も目を輝かせ、「しょうなんだあ。キリンしゃんより、もっともお〜っと、大きくなるんだよお」と生意気な口をきく。
でも、一番楽しみなのは、最後のカエルだ。
カエルは息子にとって”声はすれど姿はあまり見えず”、神秘的なものらしい。そのカエルが、たとえばこんなふうに話しかけてくる。
「エヘ、キョウ、オカアチャント、ジテンシャデ、タンボノミチ、トオッタデショ。ボクタチ、ミテタンダヨ。アシタハミンナデ、アメノウタヲ、ウタウヨ。マタネ、バイバイ。」
次の日、カエルに会いに出かけるが、近くに行くとぴたりと歌はやみ、息子は少し不満そうだ。
「もっと聞きたい。カエルしゃんに会いたい。どうしたらいいの?」いいぞ。もっともっと恋焦がれろ。いっぱいいっぱい騙されろ。
そして、できるもんなら、キリンしゃんより大きく育て。
(文;森 ひろえ)