あたたかいお産と子育て
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進先生のあたたかいお産と子育て
お産は子育ての出発点。産む人と生まれてくる人が尊重される「あたたかいお産」の環境ついて考える、進先生の連載コラムです。 掲載:2001〜2003
(故)進 純郎(Shin Sumio)先生 産婦人科医師 医学博士 (掲載当時)葛飾赤十字産院院長 人間的な出産について考える「出産のヒューマニゼーション研究会」代表。

バースプラン(前編)

.........バースプランとは?

.........どんな出産の方法があるのか、説明を受けた上で考える

.........よく見受けられる意見は・・・

(後編)

.........まず、頭の中を整理してみる

.........お産への前向きの気持ちが満足感につながる

 

 多くの方が、出産は病院の分娩室の中で分娩台の上に仰向けになっていきむもの、というイメージをもっておられるのではないかと思います。しかし、前回の話の中で、出産の場所や方法などにはいくつかの種類ややり方があり、施設によってはそれらを選ぶことができるようになってきたというお話をさせていただきました。

 最近は、妊婦さんの中にも、お産をすべて医療に任せてしまうのではなく、自分で積極的に取り組もうという姿勢でやってくる方が多くなってきました。 私どもの葛飾日赤産院では、妊婦さんたちがどのようなお産を望んでいるのかを正確に知り、妊婦さんやそのご家族と互いに理解した上で出産に臨めるように、ひとりひとりに「バースプラン」を書いていただいています。妊婦さんやその家族の方々が、お産に向けてどのような要望をもっていらっしゃるのか、それを書き込んでもらうための用紙も用意しています。

 現在、産科学の技術は大変進み、安全性は高まりました。これからは、技術的な面だけでなく、あたたかい出産ができる環境を提供し、サポートしていくことが医療の役目だと思います。

 「バースプラン」という言葉を、はじめて耳にする方も多いかと思います。「バースプラン」というのは、簡単に言うとお産の計画書のようなものです。お産に臨む自分たちの考え方や要望などを書いて、それに基づいて施設のスタッフと相互に意見を確認するためのもので、欧米では広く行なわれています。 

外来相談室 外来相談室
 「お産に対する希望を教えてください」と唐突に言われても、何をどのように書いていいのか、戸惑う人は少なくありません。はじめての妊娠、出産であれば、何もわからないくて当然ですから、最初は何を質問していいかさえわからないことは多いものです。

 そうした人たちのために私どもの病院では、外来での医師の診察とは別に助産婦が担当する相談室を設けています。そこで、妊娠の初期の段階からいろいろな相談をしていただいたり、個別に説明を受けてもらっています。たとえば検査を行なう場合など、どのような検査が今必要で、どのような処置をするのか、いつ結果がわかるかなどの説明を受けるわけです。
 そこでは、この病院の出産のやり方や考え方などの説明もしています。そうした話を聞いた上で、妊婦さんやご家族に自分たちの「バースプラン」を考えていただくのです。そのほか、妊娠中に何回か開催される両親学級などでも、出産に関する情報を提供しています。

 

 「バースプラン」には、さまざまな意見や要望が出されます。多く聞かれる意見としては、夫の立ち会いがしたい、母乳を上げたい、母子同室にしてほしいなど。会陰切開をしないでほしい、へその緒はすぐに切らないでほしい、赤ちゃんが生まれたらすぐに連れていってしまわずに抱かせてほしいという希望もあります。中には、前回帝王切開だったので、今回はできれば自然に下から産みたいなどの希望もあります。

 葛飾日赤産院では、お産の姿勢にフリースタイルをとり入れていますので、両親学級などでそうした話を聞いた人の中には、自分にあった姿勢で産みたいと言う人もいます。

 ご主人が分娩室に入って、写真やビデオを撮影したいと言う人もいます。分娩室の中で、どのような位置に立って撮影するかにもよりますが、赤ちゃんの出てくるところを目の当たりに撮影する必要もないと思いますので、こうした要望に対しては、説明してカップルに検討していただいています。
 できるかぎり意向に沿うようにしていますが、そのときの状況などによっては、受けいれられないこともあります。そうしたときにこそ、「バースプラン」を元に話しあって確認することができます。医療スタッフに希望を伝えるだけでなく、さらに互いに了解するためものでもあるわけです。

妊娠・出産、母乳ワード101妊娠・出産・産後ワード101
安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説しました。
監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長



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