保育園民営化の本質~沙良さんへ~ | 海 -- 2003/07/05 .. | ||
沙良さん、こんにちは。お久しぶりです。 ホームヘルパーによる育児援助が認められたことについては喜んで頂いてありがとうございました。 沙良さんの「保育園民営化」のスレッドを読み、早くレスしたかったのですが、子どもが風邪で長期に保育園を休み、なかなかお返事できませんでした。ごめんなさい。 役員をしているときに民営化の動きがあって大変ですね。 沙良さんに唯一レスのあったみほりんさんの意見を意見を批判するわけではありませんが、民営化されたら年中・年長クラスが子ども30人を一人の保育士が見るようになったと聞いて、驚きました。エネルギーあふれる30人の子どもたちを一人の保母でみれるのかと・・・保育士の労働密度がすごく大変なのではないかと。 東京都区部に住む私の子どもが通う社会福祉法人立保育園では年中・年長各17人・19人の子どもをそれぞれ正規保育士1名の担任とパート保育士の副担任をつけ、1クラス常時2名の保育士がついています。 国基準では子ども30人にひとりの保育士でよいとなっていて、 みほりんさんの保育園が違法な訳ではありません。 30人に満たない場合は国からは、例えばうちの保育園でいうと、17人、19人分の補助しかつきません。 東京都の場合は30年前から、国の基準があまりに低いと、都独自の補助をつけ、ひとクラス30人未満でも国基準との差を埋めるようにしてきたそうです。 30年前・・・福祉を大事にした美濃部都政の時代です。 東京でも民営化の動きがもちろんあり、私の区でも今年度は4~5ヶ所民営化されるそうです。 以上たったいま保育園に電話して園長から伺ったお話です。 さて、話の核心です。 4月から障害者福祉制度が変わり、私の家に新しいホームヘルパーさんが、4~5人交代で来るようになりました。 20代の人が多いです。新しくできたホームヘルパー派遣会社で、私が今まで利用したヘルパー会社の中で1番ヘルパーさんの質が良いでしょう。ホームヘルプを受ける心地よさを感じています。 今までがあまりにもひどかったのだと思います。 しかし、ヘルパーさんから見れば、介護保険実施後、最近できた後発の会社なので、他社の縄張りがいくつもあるなかで、その中のこぼれたお客をひろって営業している状況で、訪問するお宅とお宅の間が遠くて、移動が大変というわけです。 ホームヘルパーの派遣会社のほとんどは移動の時間は賃金が出ません。正社員のヘルパーはもちろん月給制ですが、登録だったり、契約のヘルパーがほとんどです。 自分の空いている時間に仕事を請け負うのです。 この制度、ちょこっとだけ働きたい人、自分の好きな時間だけ働けば良い、働く側に便利なように見えるのですが、本当は労働者に不利です。先ほどの移動時間の無給の他、1時間あたりの賃金は他のパートよりは高いけれど、心身にハンディのある高齢者、障害者の介護・介助をするのです。家事手伝いと言えど、人間の相手をするのです。教師、看護士、保育士に劣らぬ専門的力量が求められます。それなのに、それらの職種と比べると、賃金はずっと安い。 ボーナスも手当もない、不安定就労層です。 政府は、介護保険で、膨大なマンパワーを必要とする介護福祉を民間市場に門を開きました。安く人手をあげるため・・・ これが何故、保育園民営化と関係あるかというと・・・ いったんここで区切ります。 またすぐ後を書きます。 |
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話しが広がってごめんなさい。 海 | |||
うう、難しい・・・。 沙良 | |||
続きです3 海 | |||
続きです2 海 | |||
とても難しい問題です。 沙良 | |||
続きです 海 | |||
>>> 話しが広がってごめんなさい。 | 海
-- 2003/07/05.. | ||
原点に戻って、 何故、公立保育園を民営化しなければならないのでしょう。 公立より私立の方が質が良いことが確かにありますが。 公立の保育士の親方日の丸意識も見られますが、一生懸命良い保育をしようとしている公立保育士もたくさんいます。 民営化にして保育士の待遇を下げるのは反対です。 現在民営の保育士の待遇もそれを理由にさらに切り下げられます。 自分の保育労働に見合う所得や労働条件は保育労働への誇りを持つことができます。 民営化して、保育士の仕事がきつくなって、保育士がしんどい顔をしていたら子どもの笑顔は生まれないと思うのです。 財政難だから・・・というなら、やはり他にカットすべきものがあるのでは。 最近の新聞の都内版では、公務員の退職時の名誉昇級とそれによる名誉昇給で退職金が30~50万円上がることが大きく報じられ、それがもとで、23区ではこの慣行の見直しを図る区がほとんどになりました。一例ですがこういうところから財政の襟を正していけばよいのにと思います。 もちろん抜本的な財政難対策をしなくてはなりません。 沙良さんは横浜でしたっけ。 夫が言うには神奈川では公立保育園は企業による民営化ではなくて、社会福祉事業団への運営移行になる傾向のようです。 事業団は自治体の外郭団体です。その職員の身分は公務員に準じていますが、やはり公務員に比べると退職金などとても低い。 そもそも、社会福祉事業団や社会福祉法人は、本来なら公立ですべき社会福祉事業をを運営費・人件費をやすくあげるため、自治体や国が作り出したものです。 | |||
>>> うう、難しい・・・。 | 沙良
-- 2003/07/02.. | ||
国の政策全体として論じると広がりすぎてしまうので、保育園のことだけ書きますね。 公立保育園のほうが、私立保育園よりも優れているとは言い難いのが実情です。 民間や未認可でもいい園はいいのです。 民営化に際しても、運営を社会福祉法人に限っている自治体もあれば、株式会社でもいい自治体もあります。 民営化されても、障害児の受入やアレルギー対策は継続しますし、 障害児には補助金が多く支給され、保育士の加配が義務つけられるようです。 保育園でも公務員としても権利ばかり主張し、給与に見合う仕事を しているとは思えない保育士もいるようです。 (関係者の方で、気を悪くされたらごめんなさい。) 民営化されても、よりよい保育を実現できればいいと思っています。 その為には、保護者はどう対応し、自治体になにを主張すべきか 考えていく必要があると思っています。 | |||
>>> 続きです3 | 海
-- 2003/07/01.. | ||
長くなってごめんなさい。 「三位一体改革」とは、「地方税財政改革」のことです。 1,国庫補助負担金の削減 2,地方交付税の縮小 3,国から地方への税源移譲 これを一体で行うので「三位一体」というわけです。 1,2で国から地方に出す金を削減する。その代わり国から地方に税源移譲をするというものです。 要は、三位一体改革すると、今まで国から地方に出していた金の3割ほどが削減され、これで保育・教育・老人医療などに関わる地方の予算が削られてしまうのです。 その結果例えば近畿ブロック知事会の試算によると、保育所運営については、大阪府では約50億円の運営費不足(約6200人の入所待機児分に相当) 徳島県では約11億円不足(1300人に相当)という事態になります。 小泉首相は保育園待機児をなくすと公約したのではありませんか。国は少子化対策すると姿勢を見せていますが、 それは見せかけです。 本当はこれからの日本はそんなに労働者がいらないのです。 だから子どもは少なくていいのです。 子どもを産み、育てやすくするための少子化対策ではなく、 文字通りの少子化対策、子どもを少なくするための、みんなが子どもを産みたがらなくするための対策なのです。 話は戻って、保育園民営化で子どもを営利の対象にしたくないです。有料老人ホームでたくさんお金を払って入居したら、終生手厚い介護という話がが全然ちがうということを聞きませんか。 今では公立・私立の認可園に障害児が入園すれば、障害児加算がついて保母の配置を増やすことができますが、 民営化されれば、障害児はおことわりってことになりませんか。 それが拡大されてアトピーっ子など面倒くさい子どもはおことわりってことになりませんか。 障害者介護の制度が替わって、「儲けにならない障害者はおことわり」っていうヘルパー派遣会社が現れているくらいですから。 | |||
>>> 続きです2 | 海
-- 2003/06/29.. | ||
ええ、ええ、とても難しい問題です。 私の地域にも民営化保育園設置の計画があり、うちの子の保育園にその経営をしないかという話があったそうです。 その条件というのが年間地代2百万円、建物の建設は自前でというので、「うちのような小さな社会福祉法人にはとても無理な話です」と園長が言っていました。 経営主体は法人でも、NPOでも、企業でもなんでもいいのです。もし法人やNPOだと住民の募金・寄付を募るでしょうね。 となると、住民の懐で地代・建設資金を賄うわけです。 企業だと資本を投下するのですから、当然その回収ができるように利益がが生ずるように経営するでしょう。 経営には行政から助成金が出るでしょうが、その中で利益を出さなくてはならないから、経費の節減がされるでしょう。 それは人件費であったり、保育の材料費であったり、営繕費であったり、給食も外注されたりするでしょう。 1番の問題は人件費の節減でしょう。 保育士が減らされ、正規の保育士がパート化したり、ヘルパーのように登録、契約制になったり・・・ 保育士は少なくなり、労働強化が起こる、パート化されたら保育士の身分は不安定になる。そのことが保育士の志気に影響し、保育士の質が低下する・・・そのしわ寄せは子どもにきます。 WMのみなさんだって、正規社員からパートにされるのはいやでしょう。仕事がきつくなるのは困るでしょう。 民営保育園間の競争も起こり、経営の効率化は限りなくつづくでしょう。そのしわ寄せは子どもと親。 破綻に陥る銀行にはおしげなく国のお金、つまり私達の税金が注入され、いつからこの国は銀行を国営化するような社会主義国になったのだろうか、保育園や介護保険はいつから資本主義化が激しくなったのだろうかと、本来とは逆のことが起こっているので、理解しがたく頭をひねるばかりです。 さらに、最近「三位一体改革」という畏れおおい言葉が言われるようになりました。これが保育園に及ぼす大問題は・・・ また続きます。 | |||
>>> とても難しい問題です。 | 沙良
-- 2003/06/27.. | ||
海さん、こんにちは! 再会(っていうのかしら?)できて嬉しいです。 さて、本題です。 保育園の民営化はとても難しい問題です。 お話したいことが山ほどあるのですが、上手くまとまりません。 もう少し整理してからあらためます。 また読んでくださると幸いです。 | |||
>>> 続きです | 海
-- 2003/06/25.. | ||
遅くなってすみません。続きです。 今、街に出ると大手資本、個人資本のヘルパー会社がたくさん目につきます。会社同士の競争はもちろん、介護保険・障害者介護制度から会社に払われる報酬そのものが少なく、また細かな施行規則があって、介護を行っても行政から会社に報酬がが支払われないこともあります。良心的な仕事をする会社ほど赤字になります。だから会社も経営が大変なのです。 このような実状を耳にすると、ある発言が思い出されます。 今年4月から障害者福祉制度が変わる2,3年前より、制度変更になったら障害者福祉がひどく後退するという障害者団体の危惧があり、何故変更されるのか、福祉の財源困難が言われるが、現在の経済基盤はどうなっているのか、慶応大学のK教授の講演が開かれました。現日本経済政策の失敗を厳しく批判する方で、しばらく前からテレビでもよく見かけるようになりました。 その教授が言った言葉で「現在は弱肉強食の経済競争ではなくて、弱者と弱者が闘わされる時代なのだ」と。 まさしくそのとおりではありませんか。 介護保険から払われる少ない報酬を奪い合おうとする中小のヘルパー会社同士の闘い、そしてそこで劣悪条件で働く女性ヘルパーたち。高齢者介護を突破口に次は障害者、次は保育と今まで行政が担ってきたものを自由市場に引き渡そうとする国の計画は、行財政改革とならんで、「社会福祉基礎構造改革」と呼ばれています。 すみません。また続きます。 あ~どうして簡潔に書けないのでしょう。 私って頭悪いのね。 | |||