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不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」


先端的不妊治療の現場から
 森本 義晴先生 産婦人科医

1.生殖医療

 ●生殖は神の領域?
 ●卵を成熟させるための排卵誘発剤
 ●卵は女王様
 ●精液の採取

2.顕微授精

 ●受精  ●顕微授精
 ●心のケアとインフォームドコンセント
 ●体外受精の挑戦
 ●代替え医療の可能性

 体外受精の手順



生殖は神の領域?

 生殖医療は現在まさに、先端科学技術のまっただ中にあります。その中でも不妊治療の臨床の分野は、日本の場合、各地の不妊治療専門クリニックがその最前線にあると言えるでしょう。全国にあるこうした不妊専門のクリニックは、最新の技術を使い、また医師や技術者の面でもクウォリティの高い医療を提供しています。
患者さんの中には体外受精は「あまりに人工的」と敬遠される方もいらっしゃいますが、そのほとんどは自然の力のなせる技です。受精卵を扱うと言っても、実際に現時点の科学では、一番の心臓部について触れることはできません。受精卵は自ら核融合します。それを胚移植(子宮に戻す)はしますが、着床も自然に行なわれます。

 最新の技術を駆使してるとはいえ、現場にいる私たちは、そうした自然の力を間近に見て、実感してもいるわけです。ですから、体外受精や顕微授精によって神の代わりに生命をつくっているなどと考えているわけではありません。医学はまだ、そこまで進歩してはいないのです。われわれが技術を施している部分は2割ほど。あとは、それこそ神様の領域ということになるのでしょう。



卵を成熟させるための排卵誘発剤

 一般的な体外受精は、成熟した卵を採卵し、精子の浮遊液の中に卵を置きます。精子は自分でアタックして卵に入るわけですが、こうした体外受精のひとつひとつの行程が、とても緻密に行えるようになってきました。複数個の卵子を成熟させ、採取して培養し、精子も採取したあと検査して、運動性のよいものを選別します。

 卵を採取する前には、一度に複数個の卵胞を成熟させるために、排卵誘発剤を用います。排卵誘発剤は飲み薬と注射がありますが、両方とも少量からはじめ、徐々に量を増やしていきます。

 一般的には、採卵の前には数日間、注射に通うことになります。排卵誘発剤を使うことによって、妊娠率は大幅にアップしましたが、いくつかの副作用も見られることも事実です。まず、複数個の卵を戻すことによって多胎の可能性が出てきますし、まれですが、卵巣への過剰刺激が起こる場合があります。人によっては頭痛や吐き気などがみられることもありますし、毎日注射に通うことが苦痛に感じられたり、スケジュール的に大変なこともあるでしょう。

けれどこうしたことは、カウンセラーと話をしたり、気功を行なったり、インターネットで互いに情報を交換し励まし合うことなどによって、のり越える方策は見つけられるのではないかと思います。

 たしかに排卵誘発剤の注射に毎日通うことは、多くの人にとってストレスになりやすいものです。そうしたストレスを少なくするために、われわれは卵胞がまだ小さいうちに卵巣から未熟卵を取り出し、女性の負担を軽くしたいと考えています。普通、卵胞は20ミリくらいに成熟させてから、それを採取しているのですが、もっと小さい7ミリくらいの卵胞から未熟な卵を取り出して、外で培養して成熟させて受精させる。当クリニックでは、その方法で一昨年日本ではじめて妊娠に成功しました。将来的には注射を打たずに、体外受精が行えるようになっていくのではないかと期待しています。



卵は女王様

 成熟した卵は、排卵直前にタイミングを見極めて採卵します。ときには、排卵が自然に終わってしまわないように、ゴナドトロピン放出促進剤という鼻から入れるスプレー薬をつかって、排卵を制御する方法が一般的に使われています。

 排卵のリズムは人によって違いますし、土日も関係ありません。体外受精は、1日採卵を遅らせただけで妊娠率は著しく下がってしまいます。卵のスケジュールにあわせるために、休日でも医師、技師、患者さん、全員がスケジュール調整をしなければなりません。

 採卵は、全身または局所麻酔をした上で、膣から超音波プローブを挿入し、超音波で確認しながら膣壁から腹腔の卵巣に針を刺して、卵胞の中から成熟した卵子を、通常は10個ほど採取します。採卵は外来で行なわれ、その後数時間様子を観察したあと、問題がなければ帰宅できます。



精液の採取

 卵だけでなく、精子のほうも受精しやすいように技術が駆使されています。まず、採取した精液に培養液を加え、なるべく運動性のいい精子を回収して、洗浄し、濃縮させます。精液の採取は、すぐに培養と選別ができるように、病院で行なっていただきます。当クリニックでは、アダルトビデオを設置したリラックスできる個室を用意しています。

精子は1度射精したあと、次の成熟した精子が準備されるまでは5日から1週間ほどかかります。ですから、精子を採取する前、1週間ほど禁欲をします。それ以上長く禁欲すると、逆に精子のベストコンディションは保てなくなります。


1.コウノトリはやってくる?

2.先端的不妊治療の中で

3.もう一つの不妊治療

4.不妊症のメンタルケア

5.コウノトリと母性



コウノトリVOICEバックナンバー
 過去ログ:2003年〜2011年 11月まで


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