母乳のことで頭がいっぱい
5ケ月の女の子の母です。おとなしく育てやすい子だと思うのですが、私の1日は、子どもにおっぱいをあげることに終始しています。
泣くと、おなかがすいていないか、おっぱいの質が悪かったのではないか、と心配になります。家事や外出も、必然的に授乳時間を軸に決まってしまいます。
夫が帰ってこようが、世の中の動きがどうであろうが、私の頭の中はおっぱいのことでいっぱいです。
赤ちゃんを産むまでは、お産のことばかりに思いをはせて頭がいっぱいだった人も、赤ちゃんが生まれてみると、そんなことがウソだったかのように、今度は授乳のことで頭がいっぱいになってしまう。そんな母親の話をよく耳にします。
赤ちゃんが生まれてから、夫婦の生活が赤ちゃん中心に回っているという話もよく聞きます。赤ちゃんの生活は、おっぱいを飲むリズムを中心に動いているので、母親の生活もまた、おっぱい時間に左右されてしまうこともあるのでしょう。
おっぱいは赤ちゃんのいのちの源ですから、真剣に取り組むべき課題ではありますが、赤ちゃんの泣き笑いや、動きのひとつひとつ、さらには体調まで、その変化の原因がすべておっぱいであるわけでは、もちろんありません。いい母乳を出したいという思いは、多くの母親が感じることだと思いますが、それだけのために生きているような感覚になってしまっては大変です。
母親の食べた食品やアルコールなどは、母乳に分泌され、ときに赤ちゃんに影響することがありますが、いろいろな種類の食事をとれば、多少、母乳の質が変わるのは当然のこと。アルコールを毎日飲むとか、同じ食品ばかりを食べるとか、ジャンクフードや外食を好むといったような片寄った食事をしているのでなければ、おっぱいの質にそう神経を尖らせなくてもいいのではないでしょうか。
子どもを産んだ女性は、たんなる歩くミルクタンクではありません。母乳哺育は赤ちゃんといっしょに楽しむもの。とらえられた囚人にならないでください。
( 答えた人:きくちさかえ/マタニティ・コーディネーター)