コーネリアス たってあるいたわにのはなし
レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 好学社 ¥1,572-
産道を通って汚れているからと、新生児の産毛を全部剃るという困った風習に「NO!」と言って、「私は剃らせなかった」という勇気ある友人がいる。
彼女は結婚して他県から来たんだけど、おかしいと感じたその地域の風習を、少しずつ改革(拒否!)しはじめている。
地元の若い人たちは、しきたりだからと、疑問を持っても持たなくても、とにかく習ってしまうのがほとんどのようだ。残念ながら。
そして、立ち上がった彼女の後に、一人、また一人と支持者(?)が増えているらしい。もちろん、私もその中の一人なのだ。
卵から、立って歩いて生まれてきた、ワニのコーネリアス。
「ぼくには くさむらの ずっと むこうが みえる」
卵から、這って生まれてきた他のワニたちは、みなこう答える。
「それが どうしたっていうのさ」
怒ったコーネリアスは、生まれた場所を離れ、新しいことに挑戦しようとする。
「いっしょうけんめい れんしゅうして ちょっとたすけてもらえば できるさ」
というサルの言葉が、心の中に何かくすぶっているものを、突き動かそうとしてくれる。
(文;森 ひろえ)